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余録

孔子に弟子が政治の要諦をたずねると…

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 孔子(こうし)に弟子が政治の要諦(ようてい)をたずねると、孔子は「食を足し、兵を足し、民これを信ず」――経済と軍備を満たし、民の信頼を得ることだという。うち一つを捨てるとしたら何かと弟子が聞くと、師は「兵」という▲さらに残り二つから捨てるのはどれかと問われた孔子は「食」と断言し、「信なくば立たず」と述べた。日本の政治家が好んで使うこの言葉の元となった論語の一節だが、民の信なしには政治の安定が得られないのは今昔変わりない▲世の中には兵さえあれば食も信も要らぬというブラック論語を信奉する独裁者もいるし、兵と食を満たせば信は問う必要がないという体制もある。だが今回の香港の選挙で噴き出たのは、現在の統治への予想を上回る民の不信だった▲香港政府と後ろ盾の中国に反発する民主派が、8割以上の議席を獲得して大勝した香港区議選だった。行政長官や立法会議員の一部が親中派優位の間接制限選挙で選ばれる香港で、最も民主的とされる選挙で示された「民意」である▲投票総数は前回の倍、投票率も70%を超えたこの選挙だった。むろん騒乱で経済や治安の行方を憂えた親中派もいただろう。だが前例のない投票行動は、若者の抗議に自らの未来を重ね合わせた人々が統治に抱いた不信の表れだろう▲経済(食)や治安(兵)の安定が重要でないわけはないが、まずは民主(信)を求めた香港市民である。当面の混乱収拾策も、示された民意を差し置いて成り立たないのは古代の聖人に聞くまでもない。

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