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香港の民主派圧勝 民意に応え混乱の収拾を

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 「逃亡犯条例」改正案をめぐる混乱が続いてきた香港の区議会(地方議会)選挙で民主派が8割超の議席を獲得する地滑り的勝利を収めた。

 改正案を撤回する一方、抗議活動の徹底した取り締まりを進めてきた香港政府と背後で支える中国の強硬姿勢にノーを突きつけたといえる。

 林鄭月娥(りんていげつが)行政長官は示された民意を真剣に受け止め、市民の要求に応じるべきだ。それが半年近く続く混乱を収拾する最善の策だ。

 18の区議会は公共サービスや公共事業について地域の意見を香港政府に伝えるのが主要な任務だ。区議会議員は行政長官選びや立法会(議会)選挙にも一定の影響力を持つ。

 これまで親中派が議席の約7割を占め、全ての区議会で多数派だったが、今回は民主派が大半の区議会で過半数を奪い、親中派は惨敗した。

 民主派は警察の権力乱用に関する独立調査委設置や普通選挙実施など「5大要求」を掲げ、選挙を事実上の住民投票と位置づけていた。

 投票総数は前回から倍増、投票率も過去最高の71%に達し、呼びかけに応えて投票所に足を運んだ市民の意思が劇的な選挙結果を生んだ。

 警察と学生らの激しい衝突で一時は実施が危ぶまれたが、学生らも選挙実施を優先し、過激な抗議行動を控えた。

 林鄭氏にとって今が混乱を鎮める最大の機会だ。市民の声に耳を傾け、要求に応じるべきだ。市民を失望させれば、再び、大規模な抗議活動が起きるだろう。

 長い混乱で明らかになったのは事実上、中国の意思を反映して任命されたとみられている行政長官やその指示を受ける警察などの行政機関に対する市民の根強い不信だ。

 香港では収入格差や中国の影響力拡大などで若者を中心に不満が渦巻いている。市民が行政長官や立法会を自らの手で選ばない限り、不信感は残る。政治の安定も望めまい。

 中国は「外国の干渉」「カラー革命」などの「陰謀論」を主張するが、自らの香港政策の失敗に目を向けず、思考停止に陥ってはいないか。

 民主派の大半は「1国2制度」を否定してはいない。市民の選択を尊重してこそ、中国や香港政府への信頼を取り戻せる。それが香港安定の唯一の道ではないか。

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