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地球の肺を守ろう~コンゴ熱帯雨林保護の最前線から(9)熱帯雨林の保護と航空業界の気候変動対策=大仲幸作

アフリカの玄関口エチオピア・アジズアベバのボレ国際空港。民間飛行機の数は今後20年間で約2倍になると予測=2019年10月(大仲幸作さん提供)

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 令和元年も残すところ、あと1カ月となりました。この年末年始に海外旅行を計画されている方も多いのではないでしょうか。

     ところで、読者の皆さんは、飛行機が排出する温室効果ガス(CO2)について、これまで考えてみたことはありますか?

     ご存じない方も多いと思いますが、世界を代表する航空各社のホームページには、自分のフライトのCO2排出量を試算できるページがあります。

     U社の試算によると、例えば、家族4人で東京からハワイにエコノミークラスで旅行した場合の往復のCO2排出量は3.39トン。これは1世帯当たりの年間排出量3.2トン(環境省の2017年度家庭CO2統計確報値)にほぼ匹敵します。

     たった1回の海外旅行で、これだけのCO2が排出されていると聞くと、何かの間違いではないかと思いたくなりますが、この数値は航空機が実際に消費する燃料に基づいて試算されているとのこと。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが、先日、ニューヨークで開催された気候行動サミットに出席するため、飛行機ではなくヨットで大西洋を横断したことが世界中で話題となりましたが、その背景には、こうした事情があったのです。

    キンシャサ行きの搭乗口はいつも長蛇の列。近年利用者が急増しているエチオピア・アジズアベバのボレ国際空港=2019年10月(大仲幸作さん提供)

     2019年9月、米国のNPO(国際クリーン交通委員会=ICCT)が2018年の商業フライト(貨物を含む)のCO2排出量が約9.2億トンであったことを速報しました。

     天文学的な数値に、あまりピンとこないかもしれませんが、この排出量は、国に例えると、何と世界第5位の日本(約12億トン)に肉薄するレベル。しかも、民間飛行機の数は今後20年間で約2倍(約4万8000機)になる(Airbus社)と予測されているのです。

     こうした状況に危機感を抱いた航空業界は、国連の専門機関(国際民間航空機関=ICAO)において、特に国際線の飛行機のCO2排出量を、2020年を基準に、それ以上は増加させないというたいへん野心的な目標を決定しました。

     では、航空各社は一体どのようにして、この目標を達成しようと考えているのでしょうか。新しい機体の導入、運航システムの見直しからバイオ燃料の活用まで、あらゆる方策を動員して排出量の削減にベストを尽くすとしています。しかし、それだけでは排出量を2020年のレベルで維持することは不可能だと考えられています。

     そうした中、航空分野以外の気候変動対策に投資し、その排出量を自らの成果としてカウントする、いわゆる「カーボン・オフセット」と呼ばれる制度を活用していくことが検討されています。その主要な投資先の一つと考えられているのが、近年、急速に減少が進む途上国の熱帯雨林の保全プロジェクトです。これは、航空分野の気候変動対策の実施を通じて、熱帯雨林の保全はもとより、地域の貧困の削減や貴重な野生動植物の保全などにも貢献できる一石二鳥の画期的な仕組みです。

    急速な経済発展などに伴い渋滞が慢性化しているキンシャサの街。途上国での中流階級の増加が飛行機需要を押し上げる=2019年10月(大仲幸作さん提供)

     南米アマゾンに次ぐ世界第二の熱帯雨林が広がるここコンゴ盆地は、世界の最貧困地域に位置しています。そのため、コンゴ民主共和国やカメルーンなどアフリカの国々は、人類共通の財産である貴重な熱帯雨林を守っていくため、このように民間投資を呼び込む新たな制度の導入が必要不可欠であると、国際社会に対して訴え続けています。

     気候変動問題を解決し、持続可能な社会を構築するために、飛行機と熱帯雨林は、果たして〝ウィンウィン〟の関係を構築できるのでしょうか。間近に迫ったスペイン・マドリードでの気候変動に関する国際会議(COP25)が、そのための天王山の一つになると考えられています。(つづく)


    大仲幸作(おおなか・こうさく)1999年に農林水産省入省。北海道森林管理局、在ケニア日本大使館、農水省国際経済課、マラウイ共和国環境省、林野庁海外林業協力室などを経て、2018年10月から森林・気候変動対策の政策アドバイザー(JICA専門家)としてコンゴ民主共和国環境省に勤務。

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