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(1)佐藤亜紀『黄金列車』(KADOKAWA)
(2)小林エリカ『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社)
(3)ユニティ・ダウ著、三辺律子訳『隠された悲鳴』(英治出版)
「生の重さ」問う
個人と国家。目に見えるものと見えないもの。本来なら同じ分銅で測れないものを天秤(てんびん)に載せてしまったとき、人は生の重さを見失う。
(1)の舞台は第二次世界大戦末期のヨーロッパ。ハンガリーの役人である主人公は、国有財産を退避させるため秘密裏に運行される列車に乗り込む。戦時下の混乱に乗じて財宝を狙う悪党たちに対し、文官ならではのロジカルな戦い方で渡り合っていく過程はじつに痛快。だがそもそも積荷の中身は政府がユダヤ人から没収した財産なのだ。ルールとは何のために/誰のために存在するのか。虚(むな)しい旅のなか、亡き妻と友人の思い出…
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