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詩の橋を渡って

その人の面影 今も=和合亮一(詩人)

くうちゃん 蟬しぐれだよ

くうちゃん あなたも蟬しぐれになっているかしら

一生懸命な音

あなたらしい音

世界の一生懸命さに交じれたのね よかったね

 「濃緑と茶、黒と銀の毛糸をかぎ針にかけて/ひとはり ひとはり」。丁寧な編み物のように綴(つづ)られている詩行をいくつも見つける。「手はひとりでにうごきだして/見たこともない野原が ひざの上にひろがってゆく」。新鮮でありそれでいて懐かしい感じがある。高橋順子の言葉に触れると日頃からいつも耳にしているかのような親近感をまず覚えてしまう。新刊『さくら さくらん』(deco)からも、その魅力が鮮やかに伝わってくる。

 地球一周の航海。西へと進むうちに元の港へと帰りついた経験から、不思議な遠近感覚にたどりつく。「自分のいるところが/自分からいちばん近いところだけれど/いちばん遠いところでもあるというのは事実である」。自分を自分から「いちばん近いヒト」であると同時に「遠いヒト」として実感している。一瞬で反転してしまうような日常への眼差(まなざ)しの遠近が詩の一つ一つに宿っている。「未知のわたしがいるから/まだ生き…

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