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フォアグラも身近な食材に!? 「培養肉」がもたらす可能性と不安

モサ・ミートが開発した培養肉を使ったハンバーガー=同社提供

 動物の細胞を増やして作る培養肉には、未知の食品として消費者の不安が根強い一方、食料危機や気候変動といった地球規模の課題を克服する「切り札」としての期待もあり、巨大産業に発展する可能性も秘める。食の常識を覆すイノベーションは起こるのか。培養肉の産業化を目指す日本企業の取り組みを追った。【和田憲二、竹下理子】

今やジョークではない

 「10年前は『肉の培養などジョークだ』と笑われた」。そう言いながら東京大生産技術研究所の竹内昌治教授は、37度に設定された培養器から実験用のガラス皿を取り出した。皿の中には、1センチ角ほどの白っぽいゼリーのような塊。これが牛の筋細胞を用いて世界で初めて作製した「培養サイコロステーキ肉」だ。

 動物の細胞を取り出して培養液に浸すと、細胞は自ら増殖する。これを集めて成形したものが培養肉で、これまではほとんど「ミンチ肉」止まりだったが、竹内教授と日清食品ホールディングス(HD)の研究グループは、細長い組織を何層も積み重ねて立体的な肉の形に仕上げた。この成果は3月の日本農芸化学会で報告された。研究グループは2025年までに「ステーキ肉」を作る技術の確立を目指しており、肉の味を構成する鉄分や脂肪分を含ませる研究も進める。

 研究は他でも進んでおり、東京女子医科大は早稲田大との共同研究で、培養した牛の細胞で作った膜を10枚重ねて厚さ0・8ミリ、直径3センチの肉を作製。ハムそっくりに仕上げた。

 肉の培養は今やジョークではない。この10年で培養の技術が向上し、コストが低下したからだ。米コンサルティング大手「A・T・カーニー」は、40年の食肉の世界市場規模が1・8兆ドル(約196兆円)となり、そのうち「従来の肉」は40%で、培養肉が35%を占めると見込む。培養肉が市販された例はまだ無いが、日本以外にも米国やオランダ、イスラエルなどで少なくとも20社超が量産化に向けた研究開発に取り組む。

 その一社であるベンチャー企業のインテグリカルチャー(東京)は、23年に培養フォアグラの市販を目指している。血管や繊維がステーキ肉より少ないため作製しやすく、流通単価が高いのでコストの高さを賄える。鶏の肝臓などから採った細胞を独自の培養システムで増やし、8月には世界初の培養フォアグラの試作品ができたと発表した。

 羽生雄毅最高経営責任者は「コストは23年までに100グラム当たり…

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