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台風19号 長野の特養苦悩 避難計画の実行断念 「命どう守れば」 時間も人手も足りず /長野

千曲川の氾濫で浸水した特別養護老人ホーム「りんごの郷」=長野市で10月

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 台風19号の大雨で浸水した長野市穂保地区の特別養護老人ホーム(特養)「りんごの郷」では、利用者は2階に逃れて無事だったが、作成していた外部への避難計画は実行できなかった。介護が必要な人を短時間で移動させるのは難しいと分かり、災害でどう命を守るか苦悩している。

     「外に逃げるなら、台風が来る前日から動かないと間に合わない」。施設長の千野真さん(65)はそう振り返る。計画では警報が出た時点で、利用者を近くの民間企業の事業所などに車で移す想定だった。

     台風が接近した10月12日。長野市では午前11時ごろに大雨洪水警報が発令された。雨脚はまだ弱かったが、自力移動が困難な87人の利用者を、十数人のスタッフが短時間で屋外に移動させるのは現実的に不可能。風雨による事故や体調悪化を懸念した千野さんは計画を断念し、全員を2階に上げて救助を待った。

     近くにある別の高齢者施設も同様の「垂直避難」を余儀なくされ、この施設の職員は「結果的に助かったが、もっと水が来ていたら……」と声を震わせた。

     水防法では、災害時に手助けが必要な人がいる「要配慮者利用施設」に避難計画の作成と訓練実施を義務付けている。国土交通省によると、今年3月末時点で、全国の対象施設6万7901カ所のうち作成済みは36%。訓練は13%しか実施していない。

     関西学院大の照本清峰教授(減災システム)は「避難に時間がかかる特養のような施設ほど、浸水のリスクが低い段階で動き始める必要があり、年に何度も避難しなければならない。施設にとって負担が大きく、現実的ではない」と指摘する。

     訓練やシミュレーションによって避難に要する時間を把握して現実的な計画を作り、「近隣住民の協力を得るなどして所要時間の短縮に努めるべきだ」と提言している。

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