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富裕層に富集中 格差広がる冷戦後に現れた「社会主義に好意的」な若者

革命歌「インターナショナル」を歌う国際マルクス主義潮流米支部の集会参加者たち=米ニューヨークで2019年11月10日、隅俊之撮影

 1989年12月3日、米ソ首脳はマルタ会談で冷戦終結を宣言した。あれから30年。米国を中心とする西側が築いたはずの国際秩序は揺らぎ、新たな対立や分断が生まれている。混沌(こんとん)としたこの冷戦後の時代のその後(ポスト)に、私たちを待ち受けているのはどんな世界なのか。

マンハッタンに響く革命歌

 <アライズ ヤ プリズナー オブ スタベーション(立て飢えたる者よ)……>。木枯らしが吹く11月10日の米ニューヨーク・マンハッタン。雑居ビルの一室で2日間にわたって開かれた集会が終わりを迎えると、約90人の若者らが立ち上がって拳を振り、歌い始めた。革命歌「インターナショナル」。30年前、米国は資本主義を掲げる西側陣営を率い、東西冷戦を終わらせた。だが、その米国の経済の中心地で、社会主義の象徴である歌が高らかに響いていた。

 集会を開催したのは、ロンドンを拠点とする社会主義者団体「国際マルクス主義潮流」(IMT)の米支部。会場には「社会主義かバーバリズム(野蛮)か」とのスローガンが掲げられていた。書記長のジョン・ピーターソン氏が「億万長者や企業トップは我々を気にもかけない。社会主義のために闘おう」と訴えると、参加者は一様にうなずいた。

 米国では一部の富裕層に富が集中していることに不満が募る。学費ローンの返済に苦しむ若者や、医療保険料を支払えない人も多い。IMTメンバーのアントニオ・バルマーさん(27)は高校生だった2008年、リーマン・ショックで人生が変わった。世界的な金融危機の影響で建設業だった父親は仕事を失い、家も資産もすべて売り払った。「家族みんなで祖母の家に転がり込んだ。その時に思った。資本主義っていったい何なのかと」。その年からインターネットで調べたIMTの活動に加わっている。

薄れてきた共産主義のタブー

 米ソ冷戦の記憶が残る米国では、社会主義や共産主義はタブー視されてきた。だが、ソ連崩壊以降に生まれた世代の抵抗感は薄れている。彼らは反対派の粛清や飢餓で多数の死者を出したスターリン独裁体制(1920年代~53年)も直接は知らない。オース・メルチャさん(22)は教員になるために大学で学ぶが、週末は働いて、母と暮らす自宅の家賃を払っている。スターリン時代の社会主義は多数の犠牲者も出したのではないか。そう尋ねると「関…

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