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今週の本棚

海に連れていってくれる小説 伊東潤・選

 <1>海狼伝(白石一郎著/文春文庫/1034円)

 <2>漂流(吉村昭著/新潮文庫/825円)

 <3>深重の海(津本陽著/集英社文庫/880円)

 日本は海に囲まれた島国だが、英国などと比べると、海洋文学というジャンルが活況を呈しているわけではない。その理由を私は江戸時代の鎖国の影響が昭和にまで及んでいたのではないかと思っている。新天地を求めて海外へと進出していった英国人に比べると、江戸時代の日本人にとって、海は糧を得る場としてだけ存在し、その先にあるものに思いを馳(は)せてはいけなかったのだ。それが数代にわたる無意識裡(り)の禁忌となっていったのではないだろうか。

 それでも昭和に入ると、白石一郎氏によって血湧き肉躍る海洋冒険小説の傑作群が生み出される。中でも<1>は、村上水軍に加わった少年笛太郎がさまざまな海の男たちと出会い、海を舞台に成長していくというビルドゥングス・ロマン大作だ(続編に『海王伝』もある)。海や船の描写も緻密で、白石氏が本作で直木賞を取ったのもうなずける。本作が青春小説だからかもしれないが、白石氏の描く海は畏怖(いふ)すべき存在ではなく、…

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