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今週の本棚

渡辺保・評 『能楽手帖』=天野文雄・著

 (角川ソフィア文庫・1430円)

 これ一冊あれば、能を見るのに必要な知識は全てわかるという便利で、ハンディなガイドブック。もっともそういう本は他にもある。たとえば権藤芳一の『能楽手帖』など。しかしそういう本とこの本には全く違う点がある。その違いはこの本の最後の「おわりに―――能を観るヒント」に示された著者の視点である。

 著者は大学で能の「忠度」を講義していた時、突然ひらめいた体験から始める。「忠度」は平家の武将薩摩守忠度の最期を描く。忠度は歌人として有名であり、戦地に赴く前に自作を勅撰(ちょくせん)集に載せることを願った。しかし選者、藤原俊成は、忠度が平家一門であるためにあえて「読み人知らず(無名の人)」として掲載した。その忠度の亡霊が自分の最期を物語るのに全て敬語を使う。自分のことを語るのに敬語を使う人間はい…

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