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余録

ボビイとジャックは腕利きの金庫破りハッカーだ…

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 ボビイとジャックは腕利きの金庫破りハッカーだ。ある時2人はソ連製の不正プログラムを使って米国税当局の監査を装い、大物ギャング「クローム」の海外口座に侵入してありったけのカネを巻き上げる。要した時間は8分たらず▲成りすましによる標的型サイバー攻撃を描いたSF小説家ウィリアム・ギブスンの短編「クローム襲撃」は1982年の作品だ。今でこそ現実だが、まだウイルスの名前すらない空想の世界だった。先見の明に舌を巻く▲すっかり定着した「サイバースペース」という造語もこの小説から生まれた。インターネットの無限の仮想空間のことだ。そこから着想を得たのか、きょうは商魂たくましい米国の小売業界が「サイバーマンデー」と銘打つオンライン特売日である▲米国での昨年の売り上げは約8600億円で電子商取引では過去最高だったという。この巨額取引に目を付けたのがハッカーたちだ。身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」の被害はこの1日で前年の5倍近い10万件を超えた。今年も要注意だ▲コンピューターのプログラムなどを暗号化し、復元と引き換えに金銭を要求するこのウイルスが2年前に猛威を振るった際は、英国の医療機関から日本の鉄道会社まで世界約150カ国に被害が広がった▲最近では「兵器」と言い換えられるその破壊力を「核兵器級」という専門家もいる。40年近く前の「クローム襲撃」でギブスンが核兵器の「中性子爆弾」に例えていた符合が何とも不気味だ。

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