11月は日本を離れ、ヨーロッパ各地で過ごしている。まずはモスクワ。初めての海外渡航がロシアであった私にとってさまざまな想(おも)いを喚起させられる場所である。
25歳の時に訪れたモスクワは空港がとても暗く、長らくの不況が続き、節電しているのだと気付いたのはしばらくしてからのことだった。当時はサンクトペテルブルク国際映画祭から「かたつもり」の上映依頼を受けて、渡露した。会場では観客席の一番後ろに立って、作品を見続けた。大きく映し出される養母の顔。いつもの見慣れた、けれどロシアの人にとっては名も無い日本のおばあちゃんの顔をじっと見つめてくれている。
わたしはこの時、映画って海を越えて想いを共有できると感じていた。そしてそこに「物語」を伴えばなおさ…
この記事は有料記事です。
残り1300文字(全文1626文字)
毎時01分更新
深掘りしたいニュース、話題について毎日新聞の記者や専門家に…
国立競技場の工事が始まって1年が過ぎた2017年12月11…
太陽系の外から飛んで来て今年8月に発見・命名された「ボリソ…