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250人以上犠牲のスリランカテロから7カ月 イスラム教徒に対する不信今も根強く

聖セバスチャン教会の中には、爆発で損傷した床や壁の一部が保存されている=スリランカ西部ネゴンボで2019年11月20日、松井聡撮影

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 250人以上が犠牲になったイスラム過激派によるスリランカの連続爆破テロから7カ月が過ぎた。標的とされたキリスト教徒の間には、イスラム教徒に対する不信感は今も根強い。イスラム教徒が襲撃されたり、嫌がらせを受けたりする事件も起きており、宗教間のしこり解消にはほど遠い状況だ。

 コロンボから車で北へ約1時間。ネゴンボの閑静な住宅地に、多くの犠牲者が出た聖セバスチャン教会がある。4月21日のテロで崩れた屋根や壁は修復され、血のついたキリスト像や爆発でえぐれた床や壁の一部が保存されていた。だが、今も入り口では銃を構えた兵士が警備に当たる。

 「イスラム教徒全員がテロリストではないと理解している。だが、テロ以前のようにイスラム教徒と友人になれるかと問われれば、私はできない」

 教会で孫のシャイニ・フェルナンドさん(13)と一緒に爆発に巻き込まれ、シャイニさんを失ったビニタさん(74)がおえつした。

 シスターのクリスティーンさん(70)は「キリスト教徒の中には再びテロの標的になるとの警戒感もある。このままの状況を放置すれば『イスラモフォビア』(イスラム恐怖症)が増幅する」と懸念。クリスティーンさんは、両教徒間の対話を進める活動もしている。

 一方、イスラム教徒が集住するネゴンボ周辺の地区では、テロ後に民家や商店が放火されたり石を投げられたりする事件が相次いだ。

 ネゴンボなどの地域情報をインターネットなどで発信するイスラム教徒、モハメド・アフサンさん(35)はテロ後、キリスト教徒への取材が難しくなり活動を休止した。「キリスト教徒が多い地区に行けば警戒され、家に上げてくれることもない。むしろ襲撃されるかもしれない」

 さらに事態を複雑にしているのが、人口の7割以上を占める仏教徒の中の過激派や、宗教感情を政治利用しようとする人々の存在だ。

 ネゴンボ周辺で5月にあったイスラム教徒への襲撃事件は、仏教過激派が扇動したとみられている。また、11月中旬の大統領選では、仏教徒やキリスト教徒の支持を得ようとイスラム教徒への恐怖心をあおる候補者もいた。

5月に何者かに投石され穴が開いた飲食店の一部を指さすイスラム教徒の店主。イスラム教徒が集住するこの地域では他の複数の店も投石で被害が出た=スリランカ西部ネゴンボ近郊で2019年11月20日、松井聡撮影
テロの標的になった聖セバスチャン教会。爆発で崩れ落ちた屋根や壁は修復された=スリランカ西部ネゴンボで2019年11月20日、松井聡撮影
テロの被害者の血がついたままの聖セバスチャン教会にあるキリスト像=スリランカ西部ネゴンボで2019年11月20日、松井聡撮影
聖セバスチャン教会のテロで亡くなったシャイニ・フェルナンドさんの写真の前で取材に応じる遺族=スリランカ西部ネゴンボで2019年11月20日、松井聡撮影
テロの被害者の家族と話をするシスターのクリスティーンさん(右)。「被害者の不満をしっかり聞くことが、イスラム教徒への憎悪を増長させないことにつながる」と話す=スリランカ西部ネゴンボで2019年11月20日、松井聡撮影
テロ直後の聖セバスチャン教会=同教会提供

 内戦時代から宗教や民族の融和を訴える活動家、ビンセント・ブラトシンガラさん(63)は「スリランカでは政治が民族や宗教感情を刺激し、分断が生じ、内戦という悲劇も起きた。我々は過去の教訓に学ばなければいけない」と指摘する。【ネゴンボ(スリランカ西部)で松井聡】

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