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岡崎 武志・評『黄金列車』『エネルギーの愉快な発明史』ほか

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今週の新刊

◆『黄金列車』佐藤亜紀・著(角川書店/税別1800円)

 2年前に刊行された『スウィングしなけりゃ意味がない』では、ナチスドイツ政権下でジャズを演奏する少年たちを描いた。そして佐藤亜紀はふたたび、同じ時代の人間を別の角度から掘り下げる。

 『黄金列車』は、第二次大戦末期のハンガリーで大蔵省文官を務めるバログが主人公。ユダヤ人から没収した大量の財宝があり、彼はそれを列車で運搬する命を受けた。迫るロシア軍、米軍の空爆、そしてお宝を狙う闇物資業者、浮浪児グループなど、ハイエナどもをかいくぐっての5日間が描かれる。

 同時に、妻を失った悲しみ、酷い目にさらされたユダヤ人親友との苦い過去がフラッシュバックしていく。せつないぞ、バログ。彼に寄り添う有能な女性部下、ナプコリが魅力的。バログと関係を持ちながらクールで、地獄行きの黄金列車に同乗する。

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