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国立競技場ものがたり

完成までの36カ月/下 「誰もが楽しい場に」 意見交換21回、設計に反映

 国立競技場の工事が始まって1年が過ぎた2017年12月11日。建設現場近くの会議室で、設計管理技術者の川野久雄さん(55)は障害者や高齢者、子育てグループの代表者と向き合っていた。「水洗ボタンと非常呼び出しボタンが並んでいて、視覚障害者は間違って押してしまう」。車椅子の男性が意見した。子育て関係団体の女性は「クッションがついているベビーチェアもあるので検討してほしい」。川野さんはうなずきながら、赤ペンを紙に走らせる。「世界一のユニバーサルデザイン」の実現に向け、設計はヤマ場を迎えていた。

 1991年に大成建設に入社し、5年目で札幌ドームの設計に携わった。野球とサッカーで併用する全天候型多目的施設。人工芝と天然芝を自動交換する世界初のシステムのコンペに、著名な建築家・原広司氏らと組んで参加した。ドームの観客席を開閉式にし、天然芝のグラウンドごと空気圧で7・5センチ浮かせて屋外に移動させる「ホバリング方式」を採用。ドーム内の空調は「冬は氷点下1、2度の札幌だが、20メートルぐらい掘る…

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