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社説

日米貿易協定の承認 やはり平等とは言えない

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 政府が今国会の最優先課題とした日米貿易協定が、きのうの参院本会議で与党などの賛成多数で承認された。米議会の承認は不要なため、来年1月1日に発効する見通しだ。

     国会審議で最も問題となったのは、米国に押し切られて日本が不利になったのではないかということだ。日本は米国産牛肉や豚肉の関税引き下げを約束したが、米国は日本車の関税撤廃を見送ったからだ。

     安倍晋三首相はトランプ大統領と合意した際「日米にウィンウィン」と強調した。協定で将来の車関税撤廃が前提になっているためという。

     ただ協定には「撤廃についてさらなる交渉を行う」と玉虫色の文言しかない。日本車への追加関税を振りかざしたトランプ氏が撤廃に応じるとは考えにくい。政府は国会で説得力ある説明を行う必要があった。

     だが首相らは協定の文言を繰り返すばかりで、米国から撤廃の確約を得たという明確な根拠を示さなかった。撤廃が決まっているのなら時期のめどぐらいは示せるはずだが、明言できなかった。これで日米が平等と主張するのは無理がある。

     政府が公表した協定の経済効果も日本車関税の撤廃を前提にしている。野党は撤廃分を除いた試算の提出を求めたが、政府は拒んだ。

     協定は国民生活に深く関わる。政府は都合の悪いデータも含めて公表し、国民の理解を得るのが筋だ。

     大事な論点が多いのに審議時間は短かった。衆参両院合計で30時間を下回り、米国が参加していた3年前の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の2割程度にとどまった。

     トランプ氏は来年の大統領選で成果をアピールするため、発効を急いでいる。トランプ氏の都合を優先し、国民への説明をないがしろにしたと受け取られても仕方がない。

     自由貿易は本来、互いに主要な分野を開放し、経済の活性化を図るものだ。日本は、来年春以降とされる次の交渉で日本車関税の撤廃を明示するよう求めていくべきだ。

     日本は米国抜きの11カ国によるTPP発効を主導したが、地域の要である米国だけ個別協定というのは極めて不自然だ。TPP参加国を増やせば、参加しない米国は国益を損なうだけだろう。米国に将来的なTPP復帰を促すことが重要だ。

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