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南極で捉えた銀河系外素粒子 高エネルギーニュートリノ観測、アイスキューブ

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 銀河系の外からのメッセージをどう捉えるか――。12カ国の国際研究チームが、南極の素粒子観測施設「ICE CUBE(アイスキューブ)」で宇宙の謎解きに挑んでいる。高エネルギーニュートリノを観測し、光では見えない宇宙を知る手がかりを得るのが狙いだ。【荒木涼子】

 ●地球から数億光年

 高エネルギーニュートリノは素粒子ニュートリノの一種で、地球から数億光年離れた宇宙で過去に起きた天体活動が発生源として知られる。中には地球が生まれた46億年前より古いものもあると考えられ、観測できれば当時の宇宙についての情報が得られる。

 ニュートリノは、あらゆる物質をすり抜けるため観測が難しく「幽霊粒子」とも呼ばれる。電気を帯びておらず、物質とぶつかっても痕跡を残さないからだ。そんな中、ごくまれに氷床中の原子との衝突の影響で「ミューオン」という素粒子がわずかに生まれ、それによって青い光「チェレンコフ光」が放たれる。光はニュートリノと同じ方向へ直進するため、光を検出できれば、発生源の特定に欠かせない飛んできた方向も分かる。

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