メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

アート

「ごちゃまぜ、ゆるーく楽しんで」共生社会考える展覧会「ここから4」開幕 国立新美術館

「ここから4」の会場風景=東京都港区の国立新美術館で2019年12月4日、岡本同世撮影

[PR]

 漫画や体験型メディアアートなどの美術作品が共存する空間を通して、共に生きる社会への関心を深める展覧会「ここから4 障害・表現・共生を考える5日間」(文化庁主催)が4日、国立新美術館(東京都港区)で開幕した。美術評論家で新潟市美術館長の前山裕司さんが監修、「共生社会のスタートになる『ごちゃまぜランド』を作った。次から次へと出てくる多様な作品を、ゆるーい感じで楽しんでもらえたら」と来場を呼びかける。無料。8日まで。

 「ここから」展は2016年10月にスタート。4回目となる今回は、作者の障害の有無や、表現方法のジャンル分けによる章立てを初めて取り払い、五つのキーワードでゆるやかにつながっていく形にした。

漫画、小石、トントン相撲…

 会場に入ってすぐの「いきる―共に」では、山城大督さんの映像作品「佐藤初女 2014年9月30日」を上映。青森県で、悩める人の癒やしの場「森のイスキア」を主宰していた佐藤さん(2016年死去)が、訪れる人を招き入れ、食事を提供し、対話して送り出すまでを長回しで記録した。萩尾望都さんの短編漫画「半神」は結合双生児を主役に、生きるとは、自己とはと問いかける。

萩尾望都「半神」1984年(c)HAGIO moto/shogakukan

     ■

 「ふれる―世界と」では、久世祥三さんと坂本茉里子さんのユニット「MATHRAX」の作品「いしのこえ」に触ることができる。神奈川県茅ケ崎市の海岸で、中学生たちが選び拾った石が、それぞれに異なる音を奏でる。坂本さんは「意識の指向性と身体が直接つながっているのが、触れるという行為。石の手触りを確かめることは、自分がどう感じるかを考えることでもある」と話す。

「ここから4」で展示されているMATHRAXの「いしのこえ」=東京都港区の国立新美術館で2019年12月4日、岡本同世撮影

 小さなかけらが散らばる西野克さんの展示について、前山さんは「作品とは呼べないかもしれないが、表現の根源といえる」という。指先や手の甲でそっと触れ、存在を確認したものをかんでくだく。その破片を、施設のスタッフがナンバリングして保存している。

「ここから4」西野克さんの作品=東京都港区の国立新美術館で2019年12月4日、岡本同世撮影

     ■

 個人や集団、社会などのレベルで記憶を喚起する「つながる―記憶と」では、交通事故で身体にダメージを負ったダンサーが松葉づえを使って踊る様子を日本の「金継ぎ」のイメージと重ね、再生を描いた映像「Kintsugi」が流れる。車椅子バスケットをモチーフに描いた井上雄彦さんの漫画「リアル」の原画も力強い。

APOTROPIA (アントネッラ・ミニョーネ/ クリスティアーノ・パネプッチャ) 「Kintsugi」2014年(c)Antonella Mignone, Cristiano Panepuccia

     ■

 人との出会いや関係性をテーマにした「あつまる―みんなが」で、二つの壁面を彩るのは「マスカラ・コントラ・マスカラ」の作品群だ。吉川健司さんの描くユーモラスな覆面レスラーに、秋本和久さんが味わい深い言葉を添える。2人は直接コミュニケーションをとらず、アシスタントの石平裕一さんが間をつないで、一つの作品が完成するという。

「ここから4」で展示されているマスカラ・コントラ・マスカラの作品=東京都港区の国立新美術館で2019年12月4日、岡本同世撮影

 「世界ゆるスポーツ協会トントンボイス相撲チーム」による「トントンボイス相撲」は、懐かしい紙相撲を指や手が動かない人でも楽しめるように開発。ヘッドセットのマイクに「トントン!」と声を出すと、音声が振動に変換されて土俵に伝わり、紙製の力士たちの熱い取組に観客も盛り上がる。

「ここから4」で「トントンボイス相撲」を楽しむ人たち。開発した大瀧篤さんが笑顔で見守る。「声さえ出せればOK。のどの筋肉が衰えがちな高齢者の方にも、楽しみながら鍛えてもらえます」=東京都港区の国立新美術館で2019年12月4日、岡本同世撮影

     ■

 最後の「ひろげる―可能性を」では、いがらしみきおさんの四コマ漫画「ぼのぼの」を視覚障害のある人も楽しめるよう、立体化するなどして触覚に「翻訳」することを試みた。一方、「LLマンガプロジェクト」は、スウェーデンではじまった障害を持つ人や外国人にも読みやすい本をという動きを日本の漫画に応用。認知症・自閉症の人たちにも理解しやすいようにと、漫画的表現やコマ内の情報量などを工夫する。

「ここから4」で展示されている「触れる・感じる 4コママンガ『ぼのぼの』。触覚的に読むことができるように、半立体的になっている=東京都港区の国立新美術館で2019年12月4日、岡本同世撮影

 本多達也さんが開発した髪留めやブローチのような装置は、音の特徴を振動と光に変換する「オンテナ」。髪や襟元に装着すると、音を体でとらえて楽しめる。

本多達也「Ontenna (オンテナ)」2019年 Innovated by FUJITSU

イベントやアイヌ文化企画も

 7日午後2時半からは、いがらしさんらが登壇するイベントを開く。また、文化の多様性にも目を向けようと、関連企画としてアイヌ文化にふれるコーナーを設けた。伝承を元にしたアニメ映像の前でオンテナを使い、独特な抑揚を体感できる。来年4月、北海道白老町にオープンする「ウポポイ(民族共生象徴空間)」のコンセプトムービーも上映されている。問い合わせは国立新美術館(03・5777・8600)【岡本同世】

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 学校、公共施設で次亜塩素酸水の噴霧休止相次ぐ 厚労省「濃度次第で有害」

  2. 大阪来たら宿泊費を一部補助 関西圏からの客を対象に大阪府・市が7月末まで

  3. やっぱり新型コロナ危険因子だった喫煙、肥満 「足の赤いあざ」が示す感染の疑い

  4. 初の「東京アラート」発令へ 感染再拡大の兆候 悪化なら休業再要請検討

  5. ブルーインパルス飛行「『私が発案』はやぼ」 経緯説明なしで防衛相が釈明

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです