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<出かけてみませんか 毎日新聞社の催し>
「やきもの入門―色彩・文様・造形をたのしむ」展を東京・丸の内の出光美術館で開催中です。前回に続き、同館の高木大輔学芸員が主な作品を解説します。今回は、江戸・明治時代の作品を紹介します。(写真はいずれも出光美術館蔵)
◆色絵(いろえ)蓮葉(かよう)に菱(ひし)文(もん)大皿(おおざら) 古九谷 江戸時代前期 径33・0センチ
うつわの表面に連続した菱文が広がる古九谷の大皿です。三重の菱文は、直線によってのみ構成され、それぞれ異なる文様と色彩とを組み合わせた、古九谷の色絵に独特の、緊張感のある幾何学文様の世界を生み出しています。
しかし、その文様の緊張を破るかのように、下方には一葉のハスの葉が描き込まれています。実に意外性に富んだデザインですが、これは、季節物の食べ物を、ハスの葉を皿として置いて売った風習「蓮の葉商ひ」に由来する文様と考えられます。
とすれば、本作品の意図は、その季節にふさわしい食べ物や料理を、大皿にのせて振る舞うことにあったと考えられます。文様から実用の様子が垣間見られる興味深い作品です。
◆色絵鳳凰(いろえほうおう)文共蓋壺(もんともぶたつぼ) 野々村仁清 江戸時代前期 重要文化財 総高45・4センチ
京焼の名工・野々村仁清(生没年不詳)による色絵の壺です。胴部に設けられた四つの窓枠には、赤や緑、金銀で彩られた鳳凰(ほうおう)が、それぞれ躍動感あふれる姿で描かれています。その表現は、狩野常信筆「桐鳳凰図屏風」(東京芸術大学蔵)との類似が指摘されるなど、陶磁器と絵画の影響関係を考える上でも注目されています。
周囲には菊唐草文様や、牡丹文様、蓮弁文などを配して、どの角度からでも華やかに見えるよう、全体を隙間(すきま)なく装飾しています。金銀彩色を惜しみなく使用した、きらびやかでありながら、みやびなおもむきの本作品は仁清が独自に到達した色絵陶器の傑作といえるでしょう。丸亀藩京極家に伝来しました。
◆白磁松竹梅文遊環(はくじしょうちくばいもんゆうかん)付方(つきほう)瓶(へい) 一対 出石焼 盈(えい)進舎(しんしゃ) 明治時代 各高33・1センチ
出石焼は兵庫県出石郡出石町で焼造されたやきものです。明治時代の出石焼盈進舎(えいしんしゃ)は、立体的な装飾技巧をもつ純白のやきものとして知られ、その作品の多くは、欧州などへの海外向けのやきものでした。
本作品は、一対の方瓶で、どちらにも全く同じ松竹梅の装飾文様が、鋳込み、貼り付けの技法によって精緻に施されています。松竹梅は東洋で好まれていた図様ですが、ふたつをそろえて並べる西洋の鑑賞スタイルにならうなど、海外の好みを反映させています。
一見の驚きで魅せる出石焼は、1877年の内国勧業博覧会にも出品され、一時期欧州で人気を博します。明治期の超絶技巧と称されるやきものの一つといえます。
<会期>2020年2月2日(日)まで。月曜休館。(ただし1月13日は開館)。入館時間は午前10時~午後4時半。金曜は同6時半まで。※12月23日(月)~1月3日(金)は年末年始休館。
<会場>出光美術館(千代田区丸の内3の1の1、帝劇ビル9階)
<入館料>一般1000円、高大生700円、中学生以下無料(保護者同伴が必要)。
<問い合わせ>ハローダイヤル(03・5777・8600)
主催 毎日新聞社、出光美術館
t.jigyou@mainichi.co.jp
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