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社説

参院1票の格差判決 抜本改革の議論を早急に

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 「1票の格差」が最大3・00倍だった今夏の参院選は憲法に違反するかどうかが争われた裁判で、1審となる高裁の判決が出そろった。

 全国16件のうち14件は「合憲」、2件は「違憲状態」と判断した。

 最大3・08倍だった2016年の前回参院選について、最高裁は合憲と判断している。初めて「鳥取・島根」「徳島・高知」が合区され、前々回の最大4・77倍から格差が縮小したことを評価した。

 合憲判決14件は、この最高裁の結論を土台にしている。前回以降の制度改正は埼玉の定数2増だけだが、「現実的な選択肢として是正を図った」(広島高裁岡山支部)などと、国会の取り組みに理解を示した。

 ただし、前回選挙の枠組みを定めた公職選挙法の付則は、次の選挙に向けて制度を抜本的に見直し、必ず結論を得るとうたっていた。これも最高裁が合憲とした理由だった。

 今回、違憲状態と判断した判決2件は、埼玉2増の措置を抜本的な見直しにはほど遠いと指摘した。

 高松高裁は、一時的に取り繕った是正に過ぎないと断じた。札幌高裁は、都道府県を選挙区の単位とする仕組み自体の見直しを求めた。

 前回選挙後の制度改正は、自民党の党利党略によるものである。合区であぶれた候補者を救済するため、比例代表に特定枠を設けた。埼玉2増は、公明党を含めた他党の懐柔という側面があった。

 大都市への人口集中は止まらず、選挙区が現状のままだと、格差は拡大していく。定数是正では追いつかず、合区論議の再燃もあるだろう。

 だが、合区は弊害が生じている。今回選挙で、対象4県中3県は投票率が過去最低を記録した。徳島県は全国で最も低い38・59%となった。

 必要なのは、参院のあり方を正面から問い直すことだ。「熟議の府」としての存在意義や衆院との役割分担を明確にしなければならない。

 参院選の投票価値の平等について最高裁は、2院制の下、参院の性格や機能との兼ね合いで実現されるべきだとの考え方を取る。だからこそ衆院選より格差を緩く見てきた。

 最高裁は来年中にも、憲法判断を示すとみられる。国会はそれを待たず、抜本改革に向けた議論を早急に始める必要がある。

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