毎日新聞
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親による体罰を定義した厚生労働省の指針案がまとまった。児童虐待防止法などの改正で、体罰が禁止されたことを受けたものだ。
たとえ、しつけのためだとしても、身体に何らかの苦痛を引き起こす行為は体罰に当たると明確にした。
「友達を殴ってけがをさせたので、子どもを殴った」「宿題をしないので、夕ご飯を与えなかった」などを例に挙げている。
体罰以外の暴言や辱めも「子どもの心を傷つける」として否定した。
体罰はなぜいけないのか。
子どもの成長に悪影響があるからだ。体罰を受けた子は周りの人を傷つけることが増えたり、感情的に切れやすく攻撃性が強くなったりするとの研究結果がある。
体罰が虐待への入り口となっていることも見過ごせない。児童虐待事件で、逮捕された親がしつけを口実に正当化するケースは多い。
何より、子どももひとりの人間として尊重されるべきで、日本も批准した「子どもの権利条約」であらゆる形態の身体的・精神的な暴力を防ぐことが求められている。
しかし、民間団体の全国調査で、しつけのための体罰を容認する20歳以上の人は6割弱に上っている。18歳以下の子を持つ人の7割が、過去にしつけで子どもをたたいたことがあると回答した。
「口で言うだけでは子どもはわからない」という考え方は根強い。仕事や介護などでストレスがたまった親が、つい感情的になって手を上げることもあるかもしれない。
指針案はこうした点にも目を配り、「体罰によらない子育てを社会全体で推進する」姿勢を打ち出した。体罰に頼らないための工夫や、親に対する支援策が紹介されている。
今後は、指針の内容をどのようにして親や子育ての支援者、社会に浸透させていくか、具体策が肝心だ。
母子手帳や初めて親になる人に向けた両親学級などを通じた啓発や、キャンペーン広告による周知などの案が挙がっている。子どものいる相手と結婚して子育てをすることになる人への情報提供も欠かせない。
子ども自身に「体罰を我慢しなくてよい」と教えることも大切だ。学校教育の中で、子どもの権利条約と併せて伝えるべきだ。
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