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今週の本棚

2019年「この3冊」/上(その2止)

鹿島茂(明治大教授・仏文学)

 <1>古本屋散策

 小田光雄著(論創社・5280円)

 <2>江藤淳は甦(よみが)える

 平山周吉著(新潮社・4070円)

 <3>パリ左岸 1940-50年

 アニエス・ポワリエ著、木下哲夫訳(白水社・5280円)

 <1>は現在の出版・流通機構に強い危機感を抱く著者が、未来は過去にあるという予感のもとに、円本ブームによる取次システム確立以前に存在したはずのマイナーな出版流通網を古本を介して復元しようとする野心的試みの前編。続編である『近代出版史探索』(論創社)との併読をお勧めしたい。<2>は強烈な自我ゆえに敬されると同時に遠ざけられてもいた批評家・江藤淳から自死の朝に遺稿を受け取った編集者による詳細な評伝。繊細過ぎるゆえに強面とならざるをえなかった江藤淳の「本当の姿」が次々に明らかになっていく過程は推理小説的な興奮に満ちている。<3>戦後に花咲いたパリ左岸文化はナチ占領下の左岸の安ホテルで「労働・家族・祖国」というペタン政権の標語に逆らうように「真の自由とは何か」を考えたサルトル&ボーヴォワールの脳髄から生まれたことを証明した力作。

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