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住まいの貧困に取り組む元厚労事務次官の村木厚子さん 拘置所体験から見えた「根っこ」とは

「全国居住支援法人協議会」の共同代表に就任し、発足の狙いや課題を語る元厚生労働事務次官の村木厚子さん=東京都渋谷区で2019年10月30日、佐々木順一撮影

 元厚生労働事務次官の村木厚子さん(63)が、「住まいの貧困」の解決に取り組んでいる。高齢者や障害者、生活困窮者らが住居を借りる際にサポートをする「居住支援法人」の全国組織、全国居住支援法人協議会を6月に設立し、共同代表に就任した。厚労省時代に冤罪(えんざい)事件を経験し、現在は犯罪を繰り返す累犯障害者や生きづらさを抱える若い女性の支援に携わる。「自立には安心できる居場所が必要」と強調する村木さんに、協議会設立の狙いや今後の活動について聞いた。【牧野宏美/統合デジタル取材センター】

福祉に携わり実感した住まいの大切さ 「見守りなどソフト面の強化必要」

 ――一般社団法人「全国居住支援法人協議会」を設立した理由を教えてください。

 ◆もともと厚労省で障害者政策など福祉に携わってきました。そこで実感したのは住まいはとても大事だということ。福祉サービスも、住む場所が決まらなければ受けられないし、高齢者や障害者には自分の住み慣れた地域で過ごしたいというニーズが強い。いろんなサービスがあって、ここが自分の家と思える場所を持つことが、生きていく上でベースになります。例えると、住居はケーキのスポンジ台で、上にのせるクリームやイチゴはいろんなサービスです。クリームやイチゴがあっても、スポンジ台がなければケーキは作りようがありません。

 一方で、なにがしかのハンディキャップがある人に、大家さんは安心して住宅を貸しにくい現状があります。なんとか住宅を確保したいという思いがありましたが、住宅政策は国土交通省の管轄。でも福祉は厚労省。福祉的サポートが必要な人に対する住宅供給が、二つの省庁のはざまでなかなかうまく進みませんでした。そんな中、国交省が住宅を確保するのが困難な人向けに空き家を活用する「新たな住宅セーフティーネット制度」(※)を作りました。

 福祉のサイドから、国交省がよくあの制度を作ってくれたと感謝していますが、現状は物件の登録件数が伸び悩んでいます。うまく機能させるには、ソフト面の充実が大切です。大家さんは家賃の滞納やご近所とのトラブル、孤独死などを懸念しています。家賃保証や見守りなど外付けの支援が必要で、制度にもその役割を担う「居住支援法人」が位置付けられています。これを増やし、育てていくために、福祉や不動産の関係者が協力して協議会を設立しました。

 ※新たな住宅セーフティーネット制度

 改正住宅セーフティーネット法に基づき、2017年10月にスタートした制度。低所得者や高齢者、障害者、外国人らを「住宅確保要配慮者」(要配慮者)と位置付け、要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅をオーナーが都道府県、政令市、中核市に登録し、国の専用サイトなどで情報提供する。一定の条件で登録住宅の改修費や家賃を国と自治体が補助するほか、社会福祉法人やNPOが都道府県から「居住支援法人」の指定を受け、物件探しや福祉サービスにつなげる役割を担う。

自立に一番必要なのは安心できる住まい

 ――住まいの貧困に取り組むことについて、反響はありましたか。

 ◆私自身びっくりしたんですが、私が協議会の共同代表になったのを知って、児童養護施設、困窮者支援、障害者関係など多くの人から「住宅の問題をやるんですね。うまくいってる?」と声をかけられました。期待の大きさを感じています。

 例えば児童養護施設の人に聞いて「そうか」と思ったんですけど、虐待な…

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