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そこが聞きたい

日米密約調査の10年=琉球大教授・我部政明氏

琉球大教授 我部政明氏=岸俊光撮影

 日米密約問題の調査=1=に民主党政権が取り組んで約10年になる。調査にはどんな意味があったのか。日本外交文書の公開を経てもなお未解明の問題とは何か。米国の公文書を用いた沖縄研究の先駆者で、自らが収集した日米の公文書のデータベース公開に力を入れている我部政明・琉球大教授(64)に聞いた。【聞き手・岸俊光】

研究深化へ資料共有

――政府の日米密約問題の調査を改めてどう評価しますか。調査後の2010年5月に外務省は作成後30年を経過した外交文書を原則自動公開する規則を施行し、今年3月までに約3万2000冊を公開しました。この間に判明したことは何ですか。

 密約の解明を求める国民の声の高まりが政府を動かしたと思います。

 外務省が調査した密約は安保改定時の核持ち込みと朝鮮半島有事の際の米軍の自由出撃、沖縄への核再持ち込み、沖縄返還時の原状回復補償費肩代わりの四つで、うち二つが沖縄関係です。安保改定時の文書はその後8冊が公開されましたが、核持ち込みについてはいろいろな議論があったものの、結局、あまりはっきりしないまま一段落した感じです。朝鮮半島有事の際の密約も米政府との間で「今や有効ではない」と確認され、迫力を欠く形で終わりました。一方、沖縄返還については現実に沖縄に米軍基地があるので今も問題が残っていると思います。

 沖縄問題の文書は約340冊が公開されました。沖縄返還のデリケートな文書は限られ、半分以上は1952年の講和独立後も米国の占領が続いた沖縄について日本政府が情報収集した文書です。文書番号が抜けているし、全部が公開されたとは言えません。佐藤栄作政権が掲げた「核抜き本土並み」関連では、米国が最も気にしたはずの日米地位協定の沖縄への適用を巡る交渉の記録が少なく、核兵器の撤去の記録も見当たりません。

――米国の公文書と違いはありますか。

 日本の公文書は時系列に公開されていません。主題別の文書の順序にも決まりがあるとは思えない。米国にはトータルに文書をつづるセントラルファイルのようなものがあり、国務省など組織の記録を残す意思がくみ取れます。担当者が代わっても分かりやすくしてあるのでしょう。日本は人から人へつないでいくから、担当者にしか分からない。担当になっても、ラインの外から来た人は大事な点が理解できません。外務省内の閉鎖的な「スクール」の存在を感じさせます。

 政治家との関係も垣間見えます。大臣に説明した旨を記した文書からは、その文書を…

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