「桜を見る会」をめぐる疑惑に揺れた臨時国会が、きのう閉会した。
異例と言える野党の会期延長要求を、与党が拒んだのは、疑惑の早期幕引きを安倍晋三首相や自民党が狙ったからにほかならない。
しかも安倍首相は、閉会に伴う記者会見の冒頭、この問題に一切触れず、記者の質問にも従来の説明を繰り返すだけだった。これで納得しろと言う方が無理だ。
この問題は、政府側がその場しのぎの説明を続けた結果、かえって矛盾が次々と広がり、疑問は何一つ解消されていないのが実態だ。
自民党は今後、国会で政府側に説明させる約束をした。ならば、明確な閉会中審査の形で、安倍首相が出席する衆参両院の予算委員会を早急に開くべきである。
今国会では日米貿易協定や、なお改善されない日韓関係をはじめ、もっと議論が必要だったのは確かだ。
ただし「桜を見る会」に時間が費やされたのは、首相や与党に大きな責任がある。首相自身が内閣府に厳しい調査を命じ、予算委で説明することもしなかったからである。
そもそも税金を使った政府行事の公正さが疑われる問題だ。民主政治の基本を軽んじる首相や自民党の姿勢は理解しがたい。
都合の悪い公文書はすぐに廃棄してしまう現政権の悪弊と言うべき問題も改めて浮き彫りになった。
菅義偉官房長官は招待者名簿を記録した電子データに関し、今年5月に国会で資料要求があった時点ではバックアップデータが残っていたことを認めた。しかし、このデータは公文書ではなく、資料要求に応じる必要はなかったと言い出す始末だ。
今回の疑惑は共産党が独自調査で掘り起こし、他野党も共同歩調を取って追及した。大学入学共通テストで予定されていた英語民間検定試験の導入を延期する流れを作った点も含め、野党が行政監視について一定の役割を果たしたと評価していい。
今国会中には、自民党の菅原一秀氏が経済産業相を、河井克行氏が法相を相次ぎ辞任した。ともに政治とカネの疑惑が問われたにもかかわらず、その後、約束していた説明をしていない点も看過できない。
長期政権のおごりやひずみは一段と深刻になったと言うべきである。