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社説

増えぬ特定技能労働者 制度の矛盾が表れている

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 外国人労働者の受け入れ拡大に向け、4月に新設された在留資格「特定技能」の取得者が増えていない。

 政府は今年度に最大4万7550人と見込んでいたが、今月6日時点で1539人にとどまる。3・2%に過ぎず、掛け声倒れに等しい。

 特定技能制度は、一定の仕事の技能と日本語能力を持つと判断された外国人を14業種で受け入れる。

 受け入れが伸び悩む理由として、準備不足が指摘される。働き手不足対策として政府が昨年10月に入管法改正案の骨子を示して以降、4月スタートありきの急ごしらえだった。

 技能と日本語の試験実施が遅れている。14業種中、11月末までに行われたのは8業種だ。資格の申請は複雑で審査にも時間がかかっている。

 送り出し国の手続きも進んでいない。最大の人材提供国とみられたベトナムは、雇用企業が払う手数料などの指針が決まっていないという。

 出入国在留管理庁は国内外で制度の理解が広がれば、資格取得者は増えると説明する。しかし、技能実習制度を温存したまま、新制度を設けた矛盾が表れているのではないか。

 母国への技術移転を名目にした技能実習制度は、人手不足を手っ取り早く補う手段として使われてきた。

 技能実習生は3年の実績があれば無試験で特定技能に移行できる。移行資格のある人は、年間約9万人いる。政府は多くの「移行組」を想定していたが、現状は大幅に少ない。

 特定技能は、技能実習では原則許されない転職が可能だ。このため技能実習生の雇用先が、資格変更に消極的なケースも出ている。

 雇う側、働く側とも特定技能のメリットが分からないとの声がある。人手不足が著しい業種では、技能実習生への依存を強める動きもある。

 技能実習制度は低賃金や長時間労働が問題化している。2017年施行の適正化法で実習生保護を図ったものの、待遇は十分に改善されず、18年も9052人が失踪している。

 単純労働者は受け入れないとの建前を変えないまま、技能実習や特定技能という名目で人手不足を補う政策は、つじつまが合わない。

 外国人が働きやすい環境を整備しなければ、日本は選ばれなくなる。日本語教育の充実や労働条件改善など共生に向けた対策がまず必要だ。

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