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余録

「二兎を追う者は一兎をも得ず」…

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 「二兎(にと)を追う者は一兎(いっと)をも得ず」。中国の故事か何かに由来していそうだが、これ実は古代ギリシャ起源で欧州に広く分布することわざという。日本には明治に入ってきて、修身の教科書で広まったらしい▲ことわざ研究家の北村孝一(きたむら・よしかつ)さんによると、「溺れる者はわらをもつかむ」「火のないところに煙はたたない」など日本では西洋のことわざがそれと知られずに定着している。漢文調の「大山鳴動(たいざんめいどう)してネズミ一匹」もその一つだという▲「山々が産気づいて、滑稽(こっけい)なネズミが一匹生まれる」というラテン語に由来し、西洋では大口をたたく人をからかうことわざだそうだ。これに対して日本では社会的騒動の顚末(てんまつ)を表すことが多い。たとえば大学入学共通テストである▲英語民間試験が事実上白紙化されたと思ったら、今一つの看板だった国語と数学の記述式試験も延期になるらしい。来週にも発表すると小紙が報じている。これで再来年からの大学入試改革の2本柱がどちらも頓挫(とんざ)することになった▲知識だけではなく思考力、表現力、判断力の3要素を評価するのが改革の目標だった。結構な企図だが、そんな難事を50万人もの試験で民間企業に丸投げすればすむという発想が信じられない。3要素とも落第点の文部科学省である▲知識偏重入試の非を鳴らす大山鳴動後の情けない結末も当然だろう。3要素の十分な評価は各大学の教育理念に根ざした個別試験で行ってほしい。まことに何兎も追う者は一兎をも得られない共通入試である。

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