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環境相のCOP演説 「脱石炭」に背向けるのか

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 地球温暖化対策の国際会議「COP25」で、小泉進次郎環境相の演説に、世界から厳しい目が注がれた。「石炭依存」脱却への具体的な道筋を示せなかったためだ。

 「厳しい批判も承知している」と認め、温室効果ガスを5年連続で削減した実績を強調したが、不十分な内容だった。温暖化対策に消極的な国に非政府組織が贈る「化石賞」に、同じ会議で2度も選ばれた。

 国連のグテレス事務総長は各国に「石炭依存をやめて」と呼びかけている。日本の現状はほど遠い。

 電力供給の33%を石炭火力発電が占める。現在、約100基が稼働し、約20基の新設が計画されている。

 東京電力福島第1原発事故で全原発が停止し、原子力発電の割合が約3割から3%まで落ち込んだ。代替手段として電力会社は、石炭火力の比重を増やした。

 さらに政府は、高効率の石炭火力発電所を途上国へ輸出する政策も進めている。小泉氏は演説に際し、輸出抑制方針を盛り込もうと調整を図ったが、経済産業省などの抵抗が根強く、見送った。

 「脱石炭」は世界の潮流だ。欧州を中心に、2030年までの石炭火力廃止を宣言する国が相次いでいる。だが、日本のエネルギー基本計画が規定する将来の電源構成は、石炭に過度に依存している。

 来年始動する「パリ協定」で日本が約束する温室効果ガス削減目標も、この計画に基づいて設定された。「30年までに26%削減する」との目標は、国際社会で見劣りするだけでなく、国内の削減への意欲も損なう。石炭火力を温存し続ければ、この目標達成すら危うい。

 基本計画を見直し、温暖化対策に真剣に取り組む姿勢を示すべきだ。基本計画は30年の原子力への依存度についても「20~22%」と明記するが、再稼働が困難な現状から目をそらすものだ。再生可能エネルギーの活用にかじを切る時だ。

 日本は1990年代、世界が温暖化対策に取り組む契機となった「京都議定書」を主導した。パリ協定は、その理念を受け継ぐ。

 現状に安住せず、「脱石炭」の目標を掲げて努力する道を選ぶことが、先進国に課せられた最低限の責任である。

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