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毎日新聞

アスリート交差点2020

努力は天才を超える 東京五輪への思いは負けない=柔道・阿部一二三

 11月にあった東京五輪の代表選考大会の一つ「グランドスラム大阪大会」で、ライバルの丸山城志郎選手を破って、優勝することができました。8月の世界選手権で勝つことができず、負けたままでは絶対に終われないと思っていました。今回の勝因は、前に出て攻め続けられたことが一番大きかったと思います。

 世界選手権の準決勝では、丸山選手の攻めに下がってしまい、勝ちきることができませんでした。「高校時代を思い出せ」。恩師である神港学園高の信川厚総監督や周りの方からそう言われて、常に前に前に出ることを意識しました。試合中も自然に体が反応してくれ、前に攻め続けたことで、相手も嫌だったと思います。

11月のグランドスラム大阪男子66キロ級決勝、袖をつかみにらみ合う阿部一二三(右)と丸山城志郎=丸善インテックアリーナ大阪で2019年11月22日、徳野仁子撮影

 ただ、前に出るだけでは勝てません。自分の一本を取る柔道を貫きながらも、相手の得意な形で柔道をさせないということも考えるようになりました。ずっと考えて考えて試合をしたというのではなく、対策を考えて練習したことで、体が勝手に動いた感覚でした。

8月の世界選手権男子66キロ級準々決勝、攻める阿部一二三(右)=東京・日本武道館で2019年8月26日、徳野仁子撮影

 世界選手権で負けた後も、自分が東京五輪に出場することを疑うことはありませんでした。2016年リオデジャネイロ五輪では、代表選考大会で負けてしまい、出場できませんでした。リオ五輪に出られなかった悔しさは今でも忘れていません。この4年間積み上げてきたものがあり、自分が東京五輪に出るんだというその強い思いは誰にも負けません。

 この一年は脇腹や足首などけがも多く、しっかり練習を積んで万全な状態で臨めたのは2月のグランドスラム・パリ以来でした。苦しい時期こそ地道に取り組んできたことで我慢を覚え、気持ちの部分で大きく成長できたと思っています。この成長は、今後の試合や練習でも生きてきますし、何があっても誰よりも一番強い気持ちを持って臨んでいきたいです。

 しかし、まだ1回勝っただけです。来年も激しい勝負になると思いますが、気持ちの面では絶対に誰にも負けない。そして、より一層気を引き締め、東京五輪で優勝することだけを考えて練習に励みたいと思います。後は本当にやることをやるだけ。すべての試合で勝ち、東京五輪で夢をかなえたいと思います。

尊敬する人を教えてください。

 柔道男子60キロ級で五輪3連覇した野村忠宏さんです。小学校低学年の時にテレビで見て、豪快に投げる柔道にひかれました。中学の時、野村さんの母校・天理大で初めて一緒に練習させてもらったことのうれしさは今でも覚えています。高校3年の時には、「プレッシャーは常にあるものだから、どれだけ受け止めて試合できるかが大事だ」と声をかけてもらいました。プレッシャーがあるのが当たり前と考えたら楽になり、今に生きています。

阿部一二三(あべ・ひふみ)

 神戸市出身。男子66キロ級で2017年、18年の世界選手権2連覇。14年の講道館杯を男子最年少の17歳2カ月で制した。妹の詩も18年世界選手権女子52キロ級優勝。日体大4年。22歳。