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社説

性同一性障害と職場 意識改革迫った地裁判決

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 戸籍上は男性だが女性として生きる性同一性障害の職員に対し、女性トイレの使用を制限した経済産業省の対応について、東京地裁が違法とする判決を出した。

 判決は、自ら認識する性別で社会生活を送ることは、重要な法的利益として保護されると明言した。その意義は大きい。

 LGBTなど性的少数者の働く環境に関する初の司法判断だった。

 職員は専門医に性同一性障害と診断されたが、健康上の理由で性別適合手術を受けられなかった。女性ホルモンの投与を受け、女性として勤務していた。

 経産省は、抵抗を感じる同僚がいるとして、職員に執務室から2階以上離れた女性トイレを使うよう求めた。人事院もこの対応を追認した。

 判決は、職員が女性として認識されている半面、制限の理由は抽象的で正当化されないと指摘した。

 性同一性障害の人が働きやすい職場環境の重要性が、社会で意識されてきていることも挙げた。国に賠償を命じ、人事院の判定についても妥当性に欠けるとして取り消した。

 国は判決を受け入れ、率先して職場環境を改善すべきだ。

 体の性と心の性が一致しないトランスジェンダーの認知度は高まっている。オフィスの全フロアに誰でも入れるトイレを設けるなど、配慮する取り組みを実施した企業もある。

 ただし、働く環境の改善はまだ途上だ。金沢大などの調査では、トランスジェンダーの4割が、使いたいトイレを利用できていなかった。周囲の人々に抵抗感が残っているとの結果も出た。

 判決は、こうした現状に意識改革を迫ったものだ。社会全体で、性的少数者への理解を深め、多様性を尊重し、誰もが生きやすい環境づくりを進めていかなければならない。

 性同一性障害特例法は戸籍上の性の変更に際し、性別適合手術を要件としている。手術は心身の負担が大きく、改正を求める声が強い。

 最高裁は今年1月、手術要件を合憲と判断した。しかし、4人中2人の裁判官は、手術なしでも変更を認める国が増えており、手術要件には違憲の疑いが生じていると補足意見で言及している。これについても議論を進めるべきだろう。

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