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社説

英総選挙で保守党大勝 離脱で分断深めぬ努力を

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 英国の総選挙でジョンソン首相率いる与党・保守党が下院650議席の過半数を獲得する大勝を収めた。

 ジョンソン氏は欧州連合(EU)と合意した離脱協定案を年内に議会に諮る方針で、公約通り来年1月末に離脱する道筋が付けられた。

 「合意なき離脱」となれば、経済や暮らしへの重大な打撃は必至だった。最悪の事態は避けられた。

 離脱問題を巡る2016年の国民投票から3年半がすぎ、先の見えない混乱に終止符を打ってほしいという国民意識の表れだろう。

 だが、総選挙は「秩序ある離脱」に向けた道のりの始まりにすぎない。前途には課題が山積している。

 まず、市民生活の混乱や経済活動への影響を最小限に抑えることである。離脱により、英国経済の成長鈍化が予想されるためだ。

 焦点はEUとの新たな関係の構築だ。自由貿易協定(FTA)を締結する予定だが、公約の「来年末」までに交渉をまとめるのは至難の業だ。米国や日本など主要貿易相手国とも個別の取り決めが要る。

 英国内の亀裂も深刻だ。英領北アイルランドは離脱によって英本土から引き離されることへの不安が強い。EU残留派の多いスコットランドでは独立機運が高まっている。

 炭鉱閉鎖や製造業低迷で経済が衰退したイングランド北中部では、労働者階級が苦境脱却と格差是正の望みをEU離脱に託した面がある。

 ジョンソン氏は「離脱にけりをつける」と約束し、煮え切らない野党・労働党に幻滅した人々の不満を吸収した。だが、膨らんだ期待に応えられなければ、招く失望も大きい。

 総選挙を通じて政権基盤を強化した以上、責任ある政治指導者としての振る舞いが一層求められる。

 勝利宣言で「私たちは世界で最も偉大な民主主義国にいる」と述べたが、総選挙前は「議会軽視」の強引な政権運営が目立った。野党など少数派の声に耳を傾ける必要がある。

 国際関係への波及も懸念される。トランプ米大統領と手を組んで米英の「アングロサクソン陣営」をつくり、EU諸国との間に線を引くような言動は避けなければならない。

 離脱は英国だけの問題ではない。その道程で国内外の分断の溝を深めない努力を尽くすべきだ。

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