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アートの地平から

地域から紡ぐ歴史観=住友文彦

チッタプロサド「アジアから手を放せ」1950年、キラン・ナダール美術館蔵

 先月、インド・デリーで研究者や現場の実践者がアジアの美術について発表するフォーラムに招待された。入国できなかったパキスタンの研究者はインターネットの画面越しに発表をおこない、他にも赤道周辺地域の美術家を取り上げる芸術祭、アフリカと南アジアの交易史から生まれた美術作品、考古学者による植民地主義批判など、新鮮な視点を得られる貴重な時間を過ごした。注目すべきは、この企画をインドと台湾の文化財団が共同で主催していたことだ。緯度で測れば私が一番遠い所からの参加で、つまりこれはグローバルな地図の作成ではなく、同時代の美術とその言説をめぐる地域主義の試みといえる。

 会場のジャワハルラール・ネルー大学は寮の部屋代値上げに反対する学生のストライキ中で、学生の参加が少なかったと美学専攻の教員は残念がっていた。聴衆は私たち招待者以外に若者、ベテランの美術家や評論家が入り交じり、各発表に対して発せられたコメントも興味深かった。その多くが新しい理論や実践によって更新されていく境界の倫理性を問うものだったからだ。しかも、自らの考えを強調するのではなく、むしろそれとは異な…

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