連載

世界の見方

激動の世界はどこへ向かうのか。各国の識者に聞きます。

連載一覧

世界の見方

温暖化対策、新たな成長に ウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
EUのフォンデアライエン欧州委員長=EU提供
EUのフォンデアライエン欧州委員長=EU提供

 私たち人間は、この惑星で豊かに、安全に暮らし続けたいと本当に望んでいるだろうか? 人類は存亡の脅威に直面しており、世界中の人々がそれを目の当たりにしている。アメリカ大陸からオーストラリアまで森林は燃え、海面上昇は欧州の都市や太平洋の島々を脅かす。ハギビス(台風19号)のような巨大台風はより頻繁に発生している。人類は過去にもこのような現象を経験したが、決して今のような速度ではなかった。

 この流れを私たちがまだ止めることができると科学は示しているが、時間切れは迫っている。新しい欧州委員会は時間を無駄にしない。始動から2週間もたたないうちに、我々は「欧州グリーンディール」に向けた行程を発表した。

 私たちの目標は、2050年までに(温室効果ガスの排出を「実質ゼロ」とする)クライメートニュートラルを達成する初めての大陸となり、地球温暖化のスピードを遅らせてその影響を軽減することだ。これは私たちの世代と、その次の世代のための任務だが、変化は今すぐに起こさなければいけない。私たちは変化を起こすことは可能だと確信している。

 欧州グリーンディールは、欧州の新たな成長戦略だ。温室効果ガスの排出を減らすと同時に、雇用を創出して生活の質を引き上げる。運輸、税制、食や農業、産業からインフラまでEUの政策全てを「緑の糸」でつなげる。欧州グリーンディールを通じ、私たちはクリーンエネルギーへの投資と排出量取引の拡大を目指し、なおかつ循環型経済を促進させて生物多様性の保護にもつなげる。

 欧州グリーンディールは必要性が高いだけではなく、新たな経済的機会を生む推進力にもなる。多くの欧州企業はグリーン経営に移行している。カーボンフットプリント(生産活動に伴って発生する二酸化炭素の排出量)を減らし、環境に優しい新しい技術を開発している。規模の大小を問わず、欧州企業は、私たちの共通の家である地球に配慮する必要性を理解している。また、将来の持続可能な解決策を見つけることが先行者利益につながることも認識している。

 経済界や変革者たちが私たちに望むことは、資金調達をしやすい環境づくりだ。これを実現するため、グリーンデ…

この記事は有料記事です。

残り902文字(全文1802文字)

あわせて読みたい

注目の特集