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社説

米中の制裁関税緩和 不毛な応酬の早期終結を

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 世界経済を揺さぶってきた米中の貿易戦争を巡り、両国政府は制裁関税の緩和などで合意した。

 米国は昨年から段階的に強化してきた関税の一部を初めて引き下げると決めた。これまでは対立がエスカレートする一方だったが、緩和方向へひとまず転換したことになる。

 米国はきょう予定していた新たな関税発動も見送った。発動すると中国からの輸入品ほぼ全てが対象になり、中国も報復していたとみられる。世界的に株価が急落し、日本も景気停滞が深まる恐れがあった。最悪の事態も寸前で回避された。

 中国は農産物の輸入拡大や知的財産権の保護などを約束した。トランプ米大統領は来年に迫った大統領選に向け成果を優先したのだろう。

 ただ、合意は歩み寄りやすかった分野にとどまる。中国政府の巨額補助金など米中の溝が深い問題は先送りし、対立再燃の火種を残した。

 米国は、中国が軍事技術の開発に直結するハイテク産業育成に補助金をつぎ込み、米国の覇権を脅かそうとしていると危機感を募らせる。

 だが、中国政府にとって補助金は国家主導の経済成長に不可欠なものだ。共産党支配の体制の根幹に関わり、譲れない一線である。

 香港民主化デモの問題もある。今回合意しても根底で対立する状況は長期間続くとの見方が支配的だ。

 トランプ氏は合意直後、補助金問題など次の交渉に早急に着手する意向を示した。大統領選でアピールできる新たな成果を得ようと、再び圧力を強める恐れがある。

 合意には、中国が今回の約束を守らないと米国が制裁関税を課せる条項も入った。米国はこれまで発動した関税の多くも残したままだ。

 「米国第一」を振りかざす力ずくの手法が国際社会に混乱を広げることは明らかである。今年の世界経済の成長率は、米中の応酬が響いて、リーマン・ショック以来の低水準に落ち込む見通しだ。

 米国は超大国として世界経済の安定に責任を負う。自国の利益のため世界を巻き込むのは身勝手過ぎる。

 中国も改革が必要だ。巨額補助金は日欧も批判している。補助金頼みでは経済は非効率なままだ。

 米中は合意を足がかりに不毛な応酬を早期に終わらせる必要がある。

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