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藤原帰一の映画愛

家族を想うとき ケン・ローチの新作 最も妥協のない作品

 豊かなはずの先進社会において所得の格差が拡大しているという報告が相次いで行われています。今回イギリスで行われた選挙でも、労働党の党首ジェレミー・コービンはイギリス社会における富の不平等を繰り返し告発しました。

 貧しき人々を映画で捉えることにおいて、ケン・ローチ監督ほど適任の人を考えることはできません。移民や労働者の暮らしに焦点を置いて、イギリス社会の不公正を告発し続けてきたからです。なかでもよく知られるのはアイルランド問題についての「麦の穂をゆらす風」ですが、不法移民を働かせるシングルマザーを主人公として移民問題を捉えた「この自由な世界で」もいい作品。近ごろは絶好調でして、カンヌ映画祭では「わたしは、ダニエル・ブレイク」が「麦の穂をゆらす風」に続いて2度目のパルムドールを受賞しています。

 この「家族を想(おも)うとき」はそのケン・ローチの新作。やはり経済的に圧迫された家族を描いていますが、私、これはケン・ローチ作品の中でもっとも妥協のない作品だと思います。前作「わたしは、ダニエル・ブレイク」よりもさらに辛口で、ドラマにも奥行きがある。83歳にしてこの表現力、凄(すご)いですね。

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