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毎日新聞

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真っ向勝負 新たな相棒と五輪へ=ソフトボール・山田恵里

 11月上旬にスポーツ用品メーカー「ミズノ」のグラブ工場を訪れました。新たに担当となった職人さんに会い、素材となる革を見ながら私の希望を伝えるためです。訪問は2年ぶりでしたが、さまざまな工程を職人さんたちが手作業でこなしている光景は、「すごいな」の一言でした。

 一口にグラブといっても、素材の質や工程によって全く違うものができあがります。私のこだわりは、柔らかさと軽さ。外野は驚くほど速い打球が飛んで来ることがない分、しっかり捕ることが求められるので、打球を素手のようにぎゅっとつかむ感覚を重視しています。扱いやすさを求めて、サイズは少し小さめ。走ることも多いので、邪魔にならないよう軽さも大事です。

新たなグラブでノックを受けるソフトボール日本代表の山田恵里=沖縄県読谷村の読谷平和の森球場で2019年12月12日午前11時22分、細谷拓海撮影

 工場ではさまざまな革を触り、薄く、しっとりとした質感のものを選びました。その後の革を柔らかくする工程では、通常1回で終わる作業が私の場合は3、4回。細かい要望を聞き、時間をかけて理想のグラブを目指してくれる職人さんが支えてくれているからこそ、そういう方たちの気持ちも背負ってプレーしなければいけないと感じました。

新たなグラブを手に笑顔を見せるソフトボール日本代表の山田恵里=沖縄県読谷村の読谷平和の森球場で2019年12月12日午後1時34分、細谷拓海撮影

 ソフトボールは道具がないと成り立たないスポーツであるだけに、どんな道具を使うかがプレーを大きく左右すると思っています。グラブだけでなく、バットも子供の頃からこだわりを持っていました。今のバットは長めの86センチや85センチ。もともと内角が得意だったので、外角も届きやすい方がいいと考え、10年以上前からこの長さです。重さは730グラムが基本で、相手投手の球が速い時や「振れていないな」と感じた時は720グラム。道具にも注意を払うことが、ベストパフォーマンスにつながると言っていいでしょう。もっとも、凡退した次の打席に気分転換で変えることも多いですが(笑い)。

 新しいグラブは今月上旬に届き、日本代表合宿で早速、使い始めました。緑色を使った初めてのグラブということもあるし、素手感覚で捕れるので、すごくいい感じ。新たな相棒を手に、勝負の五輪イヤーを迎えます。

尊敬する人を教えてください。

 特定の人を挙げるのは難しいですが、人の心を動かせる人、人間力のある人を尊敬します。例えば、イチローさんは走攻守の全てで、アイドルグループの嵐なら歌やダンスでみんなの心を動かす。有名かどうか、自分より年上か年下かといったことは関係ありません。私自身、そういう人間でありたいとずっと思い続けてきました。ソフトボール選手としてのプレーが、見ている方の心に届けばと思っています。

山田恵里(やまだ・えり)

 神奈川県藤沢市出身。厚木商高(神奈川)で競技を始め、2002年に日本リーグの日立に入部。走攻守そろった外野手で日本代表では主将を務める。04年アテネ五輪銅メダル、08年北京五輪金メダル。35歳。