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社説

台湾総統選の告示 香港混乱で増す対中不信

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 来年1月11日に投開票される台湾の総統選が告示された。現職の蔡英文(さいえいぶん)総統、最大野党・国民党の韓国瑜(かんこくゆ)高雄市長に加え、野党・親民党の宋楚瑜(そうそゆ)主席が出馬し、三つどもえの構図になった。

 国会に当たる立法院選との同日選となる。総統選では蔡氏が優位に立つものの、立法院では与党・民進党が過半数を維持できるかが微妙な情勢だ。台湾の行方は東アジア情勢にも影響を与える。台湾住民の選択を冷静に見守りたい。

 台湾は1987年の戒厳令解除以降、民主化が進んだ。96年に初の総統直接選挙が実施され、今回は7度目だ。これまでに3度の政権交代が実現し、民主主義が完全に定着したといえる。

 昨年11月の統一地方選では蔡政権1期目への不満から韓氏がブームを巻き起こして民進党が惨敗した。しかし、今年に入り香港の混乱などで中国批判を強めた蔡氏の支持率が回復した。中国に融和的な韓氏の人気は頭打ちで、支持層が重なる宋氏の参戦も韓氏に不利に働いている。

 ただ、民進党への支持が完全に回復したわけではない。立法院選では柯文哲(かぶんてつ)台北市長が立ち上げた新党「民衆党」が既成政党に不満を持つ層から一定の支持を得ており、有力な第3勢力となる可能性がある。

 中国は「一つの中国」を認めない蔡政権との接触を断ち、パナマなどと国交を樹立して台湾との断交に追い込むなど圧力を強化してきた。選挙中にも軍事的な圧力を強化し、ネットを通じて選挙に介入するのではないかという懸念が出ている。

 だが、圧力は反発を生むだけだ。台湾にとって中国との経済関係が死活的に重要なことは確かだが、米中対立でサプライチェーンを見直す動きも進む。進出先の中国から台湾に戻る企業も増えている。

 自らの代表を公正な選挙で選べない香港の現実を見れば、台湾が「1国2制度」を受け入れることはあるまい。中国は総統選で示される台湾住民の意思を受け止め、台湾政策を柔軟に見直すべきではないか。

 台湾は民主主義体制を成熟させることで存在感を高め、中国の大国化に対抗している。台湾海峡の安定は日本の安全に不可欠だ。台湾の変化、中台関係の行方に敏感でありたい。

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