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余録

その昔、釣りが武家のたしなみとして奨励されたのは…

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 その昔、釣りが武家のたしなみとして奨励されたのは藤沢周平(ふじさわ・しゅうへい)さんの小説で知った。その舞台である架空の「海坂藩(うなさかはん)」のモデルと思われる庄内藩では藩主自らが磯釣りに熱心で、藩士もそれにならったという▲最古の魚拓(ぎょたく)も同藩のもので、討ち取った敵将の首になぞらえて釣果(ちょうか)を競ったといわれる。城下の鶴岡から庄内浜への未明の山越えは体力の鍛錬になり、知略も道具の準備段階から必要とあって、釣りは武家の間で「勝負」と呼ばれた▲平和な釣りが兵術や軍略と結びついたのは、逆に太平の世のあらわれだろう。では今日、釣り(fishing)由来と思われるフィッシング(phishing)なる手口がサイバー空間の詐欺師らの金づるになっているのは何のあらわれか▲メールを送りつけて利用者を偽サイトに誘導し、パスワードなどをだまし取るフィッシング詐欺である。スミッシングとはそのうち、スマホなどのショートメッセージサービス(SMS)を利用する手口で、被害の急増が報じられる▲金融機関を装って停止口座の再開手続きなどを求めるSMSを送り、利用者を偽サイトに誘導する手口である。そこでは金融機関の「2段階認証」と呼ばれる安全対策を破る詐術も仕掛けられ、若いスマホ世代の被害者も多いという▲不審なSMSには悪知恵をとぎすまして「勝負」を挑んでくる詐欺師の釣り針が潜んでいるとみた方がいい。釣られる魚役はごめんという利用者も「勝負」の気構えと用心が必要なサイバー空間の海原である。

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