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社説

特定秘密保護法5年 恣意的運用の懸念消えぬ

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 特定秘密保護法の施行から5年がたった。安全保障に関して重要と判断する情報を特定秘密に指定し、漏えいに重罰を科す制度である。

 適用される対象の行政機関はこれまで70あった。政府は政令を改正して、28機関と大幅に減らした。

 法律の付則に基づく措置だ。検察庁や宮内庁、国税庁など42機関は施行から5年間、特定秘密を保有したことがなく、対象から除かれた。制定時の検討が不十分で、必要以上に網を掛けていたことの表れだろう。

 6月末時点で特定秘密に指定された項目は581件に上り、防衛省が334件と最も多い。文書数にすると昨年末時点で44万にも及ぶ。

 制定時から法律への批判は強かった。安全保障を名目に行政機関が情報を隠し、自由な言論に悪影響を与える恐れがあると懸念されていた。

 このため運用の監視に向け、内閣府に独立公文書管理監、衆参両院に情報監視審査会が設けられた。

 だが、管理監は政府の機関で強制権もない。昨年は6件の法令違反があったとして4省庁に是正を求めたが、文書の誤表示などにとどまる。 国会の審査会も報告書の内容に目新しさが薄れてきている。メンバーが短期間で入れ替わって、知見が蓄積されない弊害もある。

 行政府、立法府とも、十分に監視機能を果たしているとは言い難い。

 衆院の審査会は2017年、情報を得る見込みで特定秘密の項目を指定したのに、該当文書が作られない「カラの特定秘密」の存在を指摘した。政府は慎重に判断して指定するよう通知したが、どこまで反映されているかは判然としない。

 「何が秘密かも秘密」というブラックボックスの状況はそのままだ。法律の意義について、菅義偉官房長官は「国際的な信用が増し、これまで以上に核心に迫る情報が得られるようになった」と述べているが、実態は分からない。

 問題のある運用があったとの内部通報は、これまで一件もない。だからといって、恣意(しい)的な運用の懸念は消えていない。

 制度の運用基準は施行5年後に見直すことになっている。安倍政権は公文書開示の姿勢を疑問視されている。制度をしっかり点検して、運用のチェックを強化すべきだ。

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