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大阪万博パビリオン、どっこい健在~「第二の人生」集会所や自衛隊事務所に

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自宅に取り付けたウルグアイ館の一部を紹介する白井達郎さん=大阪府池田市で2019年12月2日午前10時59分、和田浩幸撮影
自宅に取り付けたウルグアイ館の一部を紹介する白井達郎さん=大阪府池田市で2019年12月2日午前10時59分、和田浩幸撮影

 「消えてゆくパビリオン “第二の人生”へ出発組も」。大阪万博が幕を閉じた1970年9月13日の毎日新聞朝刊に、そんな見出しの記事が載っている。月の石を目玉にした「アメリカ館」や、「人間洗濯機」が話題となった「サンヨー館」――。半年で日本人の半数以上に相当する6421万人を魅了したパビリオン群は閉幕後、あっけなく取り壊されたが、実は一部が国内外に移築されていた。あれから半世紀、生き残ったパビリオンはどうなったのか。万博の12年後に生まれ、関東で育った記者が各地を訪ねた。【和田浩幸/夕刊報道グループ】

ラーメン店から民家の外壁に

 JR新大阪駅からレンタカーを走らせること約30分。大阪府池田市の住宅街の一角に、ひときわ存在感を放つ民家が現れた。1階の玄関を囲むように取り付けられた青い枠のハーフミラーガラスに、「URUGUAY」の文字。実はこれ、かつての「ウルグアイ館」の一部なのだ。

 「ハーフミラーは当時、珍しいものでした。私のコレクションの中では最大です」。家主は、万博グッズコレクターの白井達郎さん(65)。万博が開催中だった高校1年の頃から関連する文房具やおもちゃ、買い物袋など、ありとあらゆるグッズを1万点以上集めている。

 「国境のない世界――地上から貧困を追放するための人類の努力」がテーマだったウルグアイ館は閉幕後、兵庫県氷上(ひかみ)町(現丹波市)の実業家に引き取られ、ラーメン店として第二の人生をスタートさせた。しかし、老朽化のため2001年に取り壊され、この店に何度か行ったことがある白井さんが「譲ってもらえませんか」と店主に打診。「そんなに好きなら」と、無償で譲り受けた。

 「今でも、写真を撮りにくる人がいますよ。やはり、好きな人は多いんでしょうね」

寄贈、売却23館

 白井さんの案内で、阪神甲子園球場83個分(330ヘクタール)という広大な会場跡地が広がる吹田市の万博記念公園に向かった。日本鉄鋼連盟の「鉄鋼館」だった建物をリニューアルした「EXPO’70パビリオン」で開かれている特別展「1970年大阪万博『ビフォー・アフター』展~あのパビリオンはいまどこに?~」(今月17日で終了)を見るためだ。ここでは、各地に散らばったパビリオンや展示品などのその後が写真で紹介されていた。

 日本を含む77カ国に加え、海外の自治体や国内企業などが参加した大阪万博では、「太陽の塔」が建つ「テーマ館」のほかに、116館のパビリオンが設けられた。しかし、万博の公式記録によると、出展者は閉幕後6カ月以内にパビリオンを撤去しなければならない規則になっており、「花やかだった会場は、平たんな広場に変わった」。

 鉄鋼館と「日本民芸館」、「日本館」(76年に撤去)の3館は当初から現地での保存が決まっていたが、ほかに23館(71年12月現在)が国内外に寄贈、売却された。

老朽化で大半消え

 だが、今となってはほとんどが現存しない。23館のうち、例えば、「サウジアラビア館」は静岡県にあった遊園地「伊豆富士見ランド」でアトラクションとして活躍。「オーストラリア館」は三重県四日市市で「オーストラリア記念館」になったが、老朽化などを理由にすでに取り壊されている。

 特別展を主催する万博記念公園マネジメント・パートナーズによると、今も建物として残っているのは、神戸市北区の「カンボジア館」▽岡山県奈義町の「ミュンヘン市館」▽長野県諏訪市の「ラオス館」▽カナダ・バンクーバー市の「サンヨー館」――の4館のみだという。

 写真や情報の収集に当たった担当者は語る。「寺院になったラオス館は、人の出入りがほとんどないそうです。今も日常的に使われているのは、国内だとカンボジア館とミュンヘン市館だけですね」

「パビリオンのある街」

 さっそく、神戸市北区へ飛んだ。

 六甲山の西側に広がる同区広陵町。市中心部の三宮などに通う人たちのベッドタウンで、約1200世帯が暮らす。最寄りの神戸電鉄山の街駅から眼下の住宅街を眺めると、オレンジ色の巨大な…

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