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東京へ ともに歩む

毎日新聞

アスリート交差点2020

行動が夢を叶える オフのトレーニングで気づいた感覚=カヌー・羽根田卓也

 オフシーズンは心にゆとりが持てるため、気づけることがたくさんあります。レースを考えなくていい分、シーズン中より視野が広がります。東京五輪代表に内定後、雑なこぎ方をしていたことに気づきました。波を丁寧に感じるカヌー・スラロームの繊細な技術を見つめ直しています。

     カヌーをこぐ上で姿勢は重要です。ビデオを見返し、良かった時に比べて首が下がり、前傾姿勢になっていたことが分かりました。体幹を意識し腰を入れるような感覚で背筋を伸ばすことで肩が下がり、姿勢が良くなります。ライバルと真剣に戦っている時にはフォームが崩れていることが分からず、知らないうちに雑なこぎ方になっていたのです。

    激しい水しぶきを上げなら力強いこぎを見せる羽根田卓也=山口県萩市の阿武川特設カヌー競技場で2019年4月20日、徳野仁子撮影

     一度つかんだ良い感覚をオフのトレーニングに生かします。水上で気をつけることも重要ですが、陸上でできるトレーニングの工夫も大事です。下半身を意識してトレーニングすることで上半身の力が抜け、自然と肩が下がります。東京五輪前最後のオフ。心にゆとりを持つことの大切さに気づけたことは大きいです。

     今季はシーズン序盤は良かったのですが、中盤で落ち、終盤に再び上がるというように調子に波がありました。感覚もそんな感じだったので、ぶれが生じたのだと思います。調子が上向いた時には何が良かったのかを考え直し、五輪に向けて最後の準備に入ります。ターンや水をつかむ時の感覚が以前とは違っていたことも分かりました。その感覚を忘れないように日々のトレーニングで一つ一つの動きを掘り下げ、より確かなものにしていく作業を続けています。

     五輪代表に内定したことで7月末の本番に向けての照準が定まりました。ネガティブ(否定的)なイメージはありません。今何をすべきかが分かったので、残りの時間で一からカヌーを作り上げていける新鮮な気持ちです。2020年は「ニュースタート」で本番まで駆け抜けます。

    尊敬する人を教えてください。

     新選組副長の土方歳三です。口数が少なく自分の仕事に集中し、打算を考えずに自分の理念と美学に基づいた生き方に憧れてきました。自分の生き方や信念、すべきことを全うする姿は自分の競技人生にも重なります。他の選手で競技へのモチベーションがなくなったり、成績に一喜一憂したりする場面をたくさん見てきましたが、どんな状況でも競技に尽くすことが求められます。そこに専念するのが土方歳三らしい生き方。より強く高みを目指します。

    羽根田卓也(はねだ・たくや)

     愛知県豊田市出身。種目はスラローム男子カナディアンシングル。高校卒業後からスロバキアを拠点とし、2016年リオデジャネイロ五輪で、カヌーで日本初メダルの銅メダルを獲得。32歳。