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毎日新聞

アスリート交差点2020

記憶に残るスイマーへ 進化した相棒と世界新記録へ=競泳・渡辺一平

 「相棒」の話をしたいと思います。世界と戦う上では欠かせない存在で、弱点を補って長所を生かしてくれます。プールに入るときはいつも一緒です。もうお分かりでしょうか? 今回は水着についてです。

     僕はキックをあまり得意としていません。そのため、腰や脚が落ちにくく、フラットな姿勢を保ってくれるミズノの水着を愛用しています。11月には新作モデル「GX・SONIC V」が発表されました。水中重量は軽くなり、はっ水が良くなりました。

    ミズノの新作水着「GX・SONIC V」を着用する渡辺一平(中央)=東京都内で2019年11月20日午後3時59分、村上正撮影

     パワーではなく、技術で勝負する僕が生命線としているのは、両腕や両脚を真っすぐに伸ばす姿勢「ストリームライン」です。平泳ぎは大きく脚を曲げ、4泳法のなかで最も水の抵抗を受けます。いかに抵抗を少なくして泳ぐかが難しく、奥深いところです。

     好記録への近道は、最も抵抗の少ないストリームラインを長く保つこと。ただ、この状態だけで進むことはできないので、ストローク(腕のかき)とキックを織り交ぜて推進力を得ます。

    男子200メートル平泳ぎ決勝、3位となった渡辺一平=韓国・光州で2019年7月26日、宮武祐希撮影

     水面に近い位置で姿勢を保つ素材を使った水着は、自分の力を最大限引き出してくれます。主戦場とする200メートルでは、体への締め付けがよりきついタイプを着用します。こだわりもあります。試合では新品を用意し、絶対水にぬらさないようにしています。

     ミズノの水着を着用し始めたのは高校1年の冬でした。大会で試泳用水着の提供があったのですが、人気で既に品切れ。そこで担当者が新品を貸し出してくれました。

     その水着を着用して臨んだ25メートルプールの短水路九州カップ。200メートル平泳ぎで自己記録を4秒更新しました。2週間後の短水路日本選手権では、さらに短縮して2分6秒台に突入しました。「あいつは誰だ」。日本代表関係者の方々に声を掛けていただき、多くの人に名前を知ってもらうきっかけになりました。

     来年はいよいよ五輪本番です。進化した相棒とともに、今年塗り替えられた世界記録に再び自分の名前を刻めるよう精進します。

    尊敬する人を教えてください。

     好調の瀬戸大也選手です。7月の世界選手権で2冠を達成し、その後も自己ベストを連発しています。特に200メートル個人メドレーは自己ベストで金メダルを獲得した1分56秒14を既に更新しました。11月の東京都オープンは1分55秒98。1分56秒の壁をすーっと越えてきました。自己ベストはいずれもこの「壁」を越えているものばかりで、「何か持っているな」と驚かされます。近い存在の先輩で、大きな刺激を受けています。

    渡辺一平(わたなべ・いっぺい)

     大分県出身。佐伯鶴城高3年時の2014年ユース五輪男子200メートル平泳ぎで金メダル。16年リオデジャネイロ五輪で6位入賞。17、19年世界選手権銅メダル。トヨタ自動車所属。22歳。