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「性暴力は人の土台傷つける」被害やっと認定 伊藤詩織さん、社会動かし勝訴

東京地裁の判決後、支援者にお礼を述べる伊藤詩織さん=東京都千代田区の東京地裁前で2019年12月18日午前10時52分、丸山博撮影

 伊藤詩織さんが顔と実名を公表して山口敬之氏による性暴力被害を訴えてから約2年。刑事告訴した山口氏が不起訴処分となり、「最後の法的手段」として提訴した民事訴訟で被害事実が認められた。

 伊藤さんは紺色のジャケットに白いブラウス姿で出廷し、証言台をはさんでグレーのスーツ姿の山口氏と対面した。冒頭のカメラ撮影の際、伊藤さんは山口氏をまっすぐ見つめ、ハンカチで目元を押さえる場面も。勝訴が言い渡され、地裁前で支援者らに拍手で迎えられると、ようやく笑顔を見せた。

 判決は、被害者の立場や心理に寄り添ったものになった。山口氏側は性行為に同意があったことを示す根拠として、伊藤さんが被害後に山口氏にビザ取得に関するメールを送った点を挙げたが、判決は「同意のない性交渉をされた者が、事実をにわかに受け入れられず、日常生活と変わらない振る舞いをすることは十分あり得る」とした。

 伊藤さんは17年5月、顔を出して記者会見し、著書「Black Box」で性暴力被害を公表。これについて、反訴した山口氏は名誉毀損に当たると主張していたが、判決は「経緯を明らかにし、広く社会で議論することが、性犯罪被害者を取り巻く法的または社会的状況の改善につながるとして公表した」と認定し、山口氏側の訴えを退けた。

 判決までの歩みは平たんではなく、今も被害当時の場面を再体験してしまう心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状に悩まされているという。伊藤さんは「性暴力はその人の土台を傷つけ、家族や周囲まで影響を受ける。誰もが加害者にも被害者にも傍観者にもならないように考えていかなければいけない」と訴えた。

 伊藤さんは著書出版の他、性犯罪に関する捜査や司法制度の問題、被害公表後に批判や脅迫が殺到したことなどを訴え、国内外のメディアを通じて性暴力を取り巻く日本社会の問題を発信してきた。

 伊藤さんが被害を訴えたのと同時期に、米国で性暴力告発キャンペーン「#MeToo」が始まった。日本でも18~19年にかけて財務省幹部のセクハラ問題が発覚したり、性暴力に抗議する「フラワーデモ」が拡大したりするなど、性暴力を問題視する動きが活発化した。

 伊藤さんは支援者を前に「少しずつでも大きな変化が起きている。私が見ているこの景色は以前とまったく違う」と語り、「判決を機に法律、報道、教育、一つ一つを皆さんと考えていきたい」と呼びかけた。【塩田彩、中川聡子、國枝すみれ】

 山口敬之氏は判決後に会見し、「納得できない。伊藤さんの主張と客観的証拠の矛盾点を主張し…

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