こじ開けた「性暴力のブラックボックス」伊藤詩織さん勝訴 被害者「支えて」

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東京地裁の判決後、「勝訴」と書かれた紙を掲げる伊藤詩織さん=東京都千代田区の東京地裁前で2019年12月18日午前10時52分、丸山博撮影
東京地裁の判決後、「勝訴」と書かれた紙を掲げる伊藤詩織さん=東京都千代田区の東京地裁前で2019年12月18日午前10時52分、丸山博撮影

 ジャーナリストの伊藤詩織さん(30)が顔と実名を公表して元TBS記者の山口敬之氏(53)による性暴力被害を訴えてから約2年。被害を受けてから約4年。伊藤さんが「性暴力被害を巡るブラックボックスを開けたい」という思いで一人で始めた闘いは、大きな支援の輪を作った。「どうか同じ温かい目で、温かい声で、性暴力サバイバーを支えてほしい」。勝訴の判決言い渡し後、伊藤さんは東京地裁前に集まった支援者にそう呼びかけた。【塩田彩、中川聡子、國枝すみれ/統合デジタル取材センター】

「長かった。でも少しずつ、大きな変化」

 注目の判決を前に、東京地裁前には18日午前10時前から傍聴券を求める人が長い列を作った。伊藤さんは紺色のジャケットに白いブラウス姿で出廷。証言台を挟んでグレーのスーツ姿の山口氏と対面した。冒頭2分の報道陣によるカメラ撮影。法廷が静まりかえる中、伊藤さんは顔を上げ山口氏をまっすぐ見つめた。目が潤み、撮影が終わると持っていたハンカチで目元を押さえた。山口氏は手元に視線を落とし、伊藤さんの方を見ることはなかった。

 伊藤さんは鈴木昭洋裁判長による主文の読み上げを淡々とした表情でメモを取りながら聞いていた。傍聴席に一礼して法廷を出ると、地裁前には多くの支援者が「性暴力のない社会を」「被害者を孤立させない」と書かれた横断幕を掲げて集まっていた。

 伊藤さんは支援者らを前にマイクを持って語りかけた。「長かったですね。でもこうやって少しずつでも、大きな変化が起きている。私が見ているこの景色は、以前とまったく違うものです。判決をマイルストーンとして、法律、報道、教育、一つ一つをみなさんと考えていけたらと思います」

伊藤さん母「被害ないものとして生きていけなかった」

 この日は伊藤さんの両親も法廷に駆けつけた。母親(57)は事件について「世の中の母親にとって自分の娘に一番起きてほしくなかったこと。胸が張り裂けるような衝撃だった」と振り返り、「本当にここまでよく頑張ったと思う」と伊藤さんをねぎらった。伊藤さんが実名を公表する際は反対した。だが…

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