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社説

かんぽ第三者委報告書 不正生んだ構造にメスを

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 かんぽ生命保険の不正販売件数がこれまでの2倍に膨らんだ。

 外部弁護士による特別調査委員会が、保険料二重払いなど顧客に不利益を与えた疑いのある契約が過去5年で1万2800件強あったと公表した。

 不正契約の被害者の7割超は60歳以上だ。郵便局への信頼感を逆手に取って、中高齢層を狙い撃ちにした悪質さが改めて浮き彫りになった。

 不正はかんぽ商品を日本郵便の販売員が売る郵政独特の構造の中で起きた。報告書は「ノルマ必達主義」や、販売実績が最優先で「不正を黙認する風潮」があったと指摘した。

 日本郵政の長門正貢社長、かんぽ生命の植平光彦社長、日本郵便の横山邦男社長は記者会見で進退について明言しなかった。だが、郵政の信頼をこれほど失墜させた以上、早期に辞任してけじめをつけるべきだ。

 日本郵政は保険の勧誘・契約時のやりとりの録画や内部監査強化など再発防止策も説明した。ただ、小手先の対策やトップ交代だけでは構造的な問題は解決しない。

 背景に郵便のユニバーサル(全国一律)サービス義務を負う日本郵便の経営問題があるからだ。収益体質が脆弱(ぜいじゃく)な日本郵便の経営は、かんぽとゆうちょ銀行から入る年約1兆円の販売手数料で成り立っている。

 金融2社からの手数料確保が欠かせない日本郵便には、もともとノルマ偏重の体質がある。ゆうちょ銀の投資信託販売でも大規模な不正が行われていたのはその表れだ。

 再発防止には、ユニバーサルサービスの将来像も含めた日本郵便の経営モデルの再構築が不可欠だ。

 日本郵政の組織体制も抜本的に見直す必要がある。民営化をうたいながら、総務省からの天下り役員が経営に影響力を振るっている。

 元総務事務次官で日本郵政上級副社長の鈴木康雄氏は、NHKのかんぽ不正報道に襟を正すどころか、猛烈に批判していた。

 日本郵政の経営を巡っては、郵政族議員の関与もかねて指摘されてきた。郵便局再編が進まない背景にも政治的な要因があるのではないか。

 かんぽ問題ではそんな矛盾が噴出した。不正を生んだ構造にメスを入れないまま幕引きしては、完全民営化は遠のくばかりだ。

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