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余録

古代アテネの直接民主政治では…

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 古代アテネの直接民主政治では市民が誰でも政治家の民主政転覆や売国行為、収賄などを告発し、裁きの庭に引き出せた。この弾劾裁判は「エイサンゲリア」と呼ばれ、有罪となれば多くが死刑となったという▲この制度では、法廷は激しい政治闘争の舞台となり、統治にかかわるあらゆる政争が裁判の姿をとることになった。有力な将軍や政治家に与えられる権限や名誉は弾劾の危険と常に隣り合わせだった(澤田典子(さわだ・のりこ)著「アテネ民主政」)▲起源をたどれば、そんな古代の民主政にたどりつくだろう米国憲法の弾劾制度である。大統領として史上3人目の弾劾訴追を受けたトランプ大統領だが、その弾劾裁判は来年の大統領選挙を前にした世論をめぐる綱引きの舞台となる▲自分の政治的利益のためにウクライナ大統領に外交的圧力をかけた「権力乱用」、議会の調査を拒む「議会妨害」の二つを理由にした米下院の弾劾訴追決議である。当人は「何も間違ったことはしていない」と訴追の不当をなじった▲訴追の2点は下院の民主党でなくとも重大事に思えるが、弾劾裁判を行う上院は共和党優勢で罷免(ひめん)の可能性はほぼない。民主党は裁判で大統領への批判の浸透を狙い、共和党は早期の無罪評決を図って告発の不当を訴えることになる▲ただし弾劾への賛否は事の理非よりもトランプ氏への好悪に重なって世論を二分し、この先も大きくは動きそうにない。社会を分断する亀裂の大きさと深さを思い知らせる米民主政のエイサンゲリアである。

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