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社説

トランプ氏の弾劾訴追 権力乱用への重い警告だ

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 米大統領選で政敵を追い落とすためにウクライナ政権に圧力をかけたとされる疑惑をめぐり、トランプ大統領が米下院から「権力乱用」と「議会妨害」で弾劾訴追された。

 民主党のバイデン前副大統領に関する「疑惑」捜査を求め、軍事支援の凍結解除やホワイトハウスでの首脳会談開催の条件にしたという。

 訴追決議は「政治的に有利になるよう米国の安全保障や重要な国益を毀損(きそん)した」と指摘し、下院の疑惑調査への協力を拒否したと認定した。

 決議によれば、大統領の外交権限を逸脱し、議会の調査権限を侵害したことになる。トランプ氏はこれを重く受け止めるべきだ。

 弾劾は、職権を乱用した大統領を罷免する手段として米憲法に明記されている。下院が訴追し、上院が裁判を行い有罪かどうかを決める。

 訴追された大統領はアンドリュー・ジョンソン氏とクリントン氏の2人だけだ。ともに無罪になったが、大統領の言動は厳しく問われた。

 今回、とりわけ重大なのは、トランプ氏が自分の再選がかかる大統領選に有利になるよう外国の力を利用しようとしたとされたことだ。

 米国は建国時、大統領選出過程から外国を排除しなければ自主独立はなく、違反すれば「国民への背信」で弾劾にあたるとの議論があった。

 トランプ氏の行為はこれに抵触していないか。通常の外交活動と主張するが、そうなら証言や証拠提出を拒まず積極的に立証すればいい。

 上院は1月にも裁判を開始する。有罪に必要な3分の2の票を得るのは難しく、与野党攻防の「政治ショー」の側面があるのは否めない。

 来年11月の大統領選をにらみ、野党・民主党は多くの証人を要求して裁判の長期化を図る戦略という。与党・共和党は一通りの審理を終えたら早期に採決する構えのようだ。

 しかし、今回の弾劾で問われているのは、世界に大きな影響力を持つ米国の外交が憲法に照らして正しく実践されているのかどうかである。

 もともと同盟国にも恣意(しい)的な態度をとるトランプ外交の正当性には疑問もある。米国の外交の規範性を審議する場とすべきだ。

 単なる「政治ゲーム」として扱うなら、弾劾の重みを軽んじるあしき先例となるだろう。

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