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南光の「偏愛」コレクション

超絶技巧のソロギタリストは「大阪の気ぃ使いーのにいちゃん」!?ー押尾コータローとのトーク拡大版

ギタリストの押尾コータローさん(右)と桂南光さん=京都市上京区で2019年12月4日、川平愛撮影

 超絶技巧を駆使し、アコースティックギター1本から生まれるとは思えない豊かなサウンドを奏でるソロギタリスト・押尾コータローさん。同じ大阪出身の桂南光さんとは親交が深く、歌手の故・河島英五さんを介して2002年のメジャーデビュー前から面識があったそうです。「疲れた時やイヤなことがあった時、押尾さんのCDを聴く」という南光さんが、今回、インストゥルメンタルの魅力からデビューの経緯までを聞きました。その結果、南光さんが出した結論は「押尾さんは、大阪の気ぃ使いーのにいちゃん」。さて、その心は?【構成・山田夢留】

ソロギタリスト押尾コータローの誕生

桂南光 初めて押尾さんを聴いた人はみんなびっくりしはるけど、音だけ聴いてたら、とても1人で弾いてるとは思えないですよね。最初はフォークソングが好きやったんでしょう? なんで、歌も歌って、とならなかったんですか?

押尾 歌詞のある歌ももちろん大好きなんですけど、演奏するのが好きだったんです。僕がちっちゃい時に親が聴いてた「ベンチャーズ」とか、歌のない音楽もいいなあって、ずっと感じてたんですね。師匠の中川イサトさんは歌も歌っていたんですが、僕はイサトさんのギターインストゥルメンタルにひかれてた、きっと、僕以外にもそういうリスナーがいるはずや、と思って、歌を歌わないソロギタリストになろうって思ったんです。

南光 ソロになる前はバンドをやったりボーカルの人とデュオやったりしてましたよね。

押尾 そうです。高校を卒業して東京の音楽専門学校に入ってからは、ギタリストの岡崎倫典さんの教室に通っていたんですが、オリジナルは全然作らずに、中川イサトさんや倫典さんの曲のコピーばっかりやってました。そしたら、倫典さんが「コピーがうまく弾けるのはわかったから、モノを作れる人になれ」って言ったことがあって、でもその時はよくわからなかった。自分のオリジナルを作るより、コピーしている方が楽しかったんですよね。だから、まずバンドを組んだんです。ロックバンド。でもベースが見つからなくてね。「それやったら俺がベースやるわ、ベースやったら弦4本やし」って。そこから7年ぐらいベースやるんですよ。

南光 へえー! 7年も!

押尾 でも、このバンドで作曲して、初めてオリジナルの楽しさがわかったんです。プロを目指して解散して解散して解散して、ボーカルとギターになって、ボーカルが抜けて、また別のボーカルとユニットを作って……。バンドがいなくなった時に、ロックバンドの曲をギター1本で表現したいなって思ったんですよね。

南光 「これが好きや」っていうよりは、楽そうやから、とか、バンドがいなくなったから、とかでだんだん今の場所にたどり着いたっていうのが面白いね。

押尾 なめてますよね(笑い)。ベースの方が簡単そうやと思ってやったんですけど、ベースって要らんことしちゃダメなんですよ。要らないことはしないで、ボン、ボン、とリズムを刻む。ところが僕、ボンとボンの間に、ボンパラパラボン、タラタラボン、とか入れちゃうんですよね。ドラムのやつに「そのタラタラ要らんねん」って言われてね(笑い)。そいつが親友のベーシストを連れてきて、その演奏を聴いてみたら、重たいビートが僕のと全然違ってたんです。「わかったわかった。そういうことか」って、7年やったベースをやめたんです。

南光 7年やって、そこで素直に「わかったわかった」でやめたんですか。あっさりと。

押尾 ベーシストになりたかったんじゃなくて、純粋に音楽をやりたかったから。楽器だったら何でもよかったっていうのはあると思います。でもみんな30歳近くなってくると、ええかげんに音楽は趣味でやったらって言われるようになる。

南光 そら言われるわ。

押尾 僕は、ほんとは最初から中川イサトさんのようなソロギタリストに憧れてたんです。でもオリジナル曲はないし、自信もなかった。だから何かに頼りたかったんですね。最終的にはボーカルが別の道に進むことになって「1人でやってくれ」って言われてね、英五さんのとこ(河島さんが大阪で経営していたライブレストラン)は弾き語り道場やったんですが、「僕のギターだけでもいいですか」って聞いたら、「かまへんよ。ええやん」って言ってくれて。それから英五さんに育ててもらったところは大きいです。

河島英五の教え

南光 僕が初めて押尾さん聴いたのも英五さんのとこ。まだデュオの頃でした。

押尾 ソロになったとき、僕、全然しゃべれなかったから、そのあたりは英五さんにすごく言われました。「次はこの曲です、演奏、はい、次はこの曲です、演奏、ではあかんやろ」って。「例えば映画音楽やるなら、何に感動したのかを演奏前に話したら、それがその曲の歌詞になるんや」って。なるほどって思いました。ギターの事は何も言わなかったんですけど、声も出し方とか「こうやったら大きく出るんや」って教えてくれました。

南光 今ではおしゃべりがすっごい面白いし、でも上手になったからって「上手やろ」って見せないし、しゃべりすぎないでしょ。実に控えめに、でもうまいことオチ持っていったりする。普通は上手になったらもっとしゃべりたくなるんですよ。押尾さんはライブの構成もね、すごいと思う。全然ダレないしね。

押尾 英五さんのとこは飲食店やし、お客さんは酒も入ってるからすごくダイレク…

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山田夢留

2001年入社。津支局、政治部などを経て2015年から学芸部。取材分野はお笑いや上方の演芸で、「南光の『偏愛』コレクション」「銀シャリのしゃシャリでてすみません」「桂二葉のけったいなやっちゃ!」などの連載を担当。大阪府八尾市出身。

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