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1000兆円超の借金があるにもかかわらず、税収を大幅に上回る予算をどんどん膨張させる。まさに「身の丈」に合わない放漫財政だ。
政府の来年度予算案は総額102兆円強と過去最大になった。100兆円の大台突破は2年連続だ。
来年度のもう一つの特徴は、増税した消費税の税収が20兆円を超え、個別税収では所得税を抜いて初めて最も多くなることだ。税収全体も63兆円台と今年度を上回るという。
それでも歳出を賄うにはほど遠い。しかも危機的な財政を踏まえると借金返済にできるだけ回すのが筋だ。ところが歳出拡大に使ってしまうため、予算の3割以上も国債に頼る「借金漬け」は変わらない。
膨張の主因は過去最大の35兆円台に上った社会保障費だ。高齢化による医療費などの増加に加え、安倍政権が看板政策に掲げる幼児・高等教育の無償化費用が大幅に増えた。
少子化対策の充実は急務だ。ただ無償化の財源は消費増税の税収だ。あれもこれもと歳出を膨らますと財政は立ち行かない。なのに高齢者に配分が偏っている社会保障費の大幅な見直しには踏み込まなかった。
大盤振る舞いは目白押しだ。典型は消費増税に伴う景気対策である。
今年度の2兆円に続き、来年度もマイナンバーカード所有者への買い物ポイント還元など1・8兆円を計上した。公共事業も景気対策分を含め7兆円近い高水準を維持した。
だが政府は増税後も「景気は緩やかに回復している」との認識を変えていない。ならば、ここまで大がかりな対策は不要なはずである。
消費増税の目的は本来、将来世代への無責任なつけ回しに歯止めをかけることだ。国民に新たな負担を求めた以上、財政を立て直す道筋を明確に示す必要がある。
安倍政権は高成長による税収増を当てにして、大型予算を編成してきた。だが今年度は法人税収が足りなくなり、2兆円超の赤字国債の追加発行を決めた。歳出抑制の重要性がよりはっきりしたのに、このままでは将来の負担が膨らむばかりだ。
長期政権が取り組むべき課題は、高齢化と人口減少が進む社会の構造変化に対応できるように財政を立て直すことだ。借金の山という負の遺産を残すのはあまりに無責任だ。