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日本文化をハザマで考える

日本文学研究家のダミアン・フラナガンさんが、日英の「ハザマ」で日本文化について考えます。

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日本文化をハザマで考える

第16回 ディケンズのロンドンと村上春樹の東京は一本の線でつながっている

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チャールズ・ディケンズ
チャールズ・ディケンズ

 村上春樹は今年で70歳になった。そのせいか、彼の作家人生についての回顧特集が多く出ている。村上の作品を読んだ人は、まるで鮒寿司(ふなずし)を食べた人のように、すっかりその虜(とりこ)になるか、あるいは嫌悪感をあらわにするか、のどちらかである。実際、私が村上について書く時、いかに多くの人が彼の作品を嫌っているかを知り、驚くほどである。

 最近村上の2000年以降の作品を読んでいて、驚いた。村上の本の書評では、まるで彼のスタイルと話の内容は、すべて今風なかっこよさを狙ったものであるかのように言われているが、どの作品もそういうものでもなかった。実際、全く予期せぬやり方で、村上は過去の作家と深い対話をしている。もちろん、日本の作家やアメリカの作家の作品からの引喩はとても多い。現代米文学からの翻訳は村上の得意とするところだからそれも当然…

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